シリアスとコミカルの温度差…「新宿野戦病院」第5話 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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今回は脚本・宮藤官九郎の現代日本の医療や福祉にまつわるメッセージがかなり濃厚に打ち出された回でした。




こうなるとおふざけ小ネタとの温度差がかなり激しくなり、その混在により、感動は薄れるし、笑いにくくもなるという双方にとってデメリットになっていました。




フジテレビ   水曜22時

「新宿野戦病院」第5話


主演…小池栄子、仲野太賀

脚本…宮藤官九郎

演出…河毛俊作




クドカンはシャイで照れ屋なんでしょうね。

メッセージを伝えるにしても声高にはせず、そんな真面目さとバランスを取るかのようにわざとおふざけをしてしまう。




そんなタイプなんだと思います。

それが如実にドラマに出てしまっている。

「不適切にもほどがある」の磯山Pや金子Dなら長年の付き合いで熟知してますからそんなクドカンをうまくコントロールして絶妙な塩梅に持っていくんですが、




このドラマのスタッフは恐らくそこがうまくできず、クドカンの書きたいように書かせたらごちゃごちゃしてしまったようです。




前回あたりから享(仲野太賀)や舞(橋本愛)のパートを薄めて、ヨウコ(小池栄子)と病院を中心にした話に集約してきて、やっと見やすくなってきました。




ただ、まだごった煮状態は続いていて、享が舞よりヨウコを好きになるとか、舞が岡本(濱田岳)にあたりがキツいとか、もうそこはどうでもよくない?ってところは残っています。




ヨウコが啓介(柄本明)とリツコ(余貴美子)の間の子で、病院を継がせるか問題や、養護施設に入ったマユ(伊東蒼)を母親(臼田あさ美)は引き取りたくてもマユは拒む問題なども依然として継続してますしね。




…で、今回は公園を追い出され病院に涼みに来てるホームレスのシゲさん(新井康弘)が熱中症で搬送されるも、





ECMOは1つしか空いてなくて、後からきた防衛副大臣(羽場裕一)に使われてしまい、シゲさんは亡くなってしまうという話でした。





命は平等というヨウコの主張は通じず保険証もなく治療費も払えないホームレスより国のために働く政治家が優先されるという悲しい現実がつきつけられました。




医療現場では実際こういう場合はどうなってるんでしょうね。

今回は他にもアメリカに比べて健康保険がしっかりしていて、受ける医療も激しい差はない日本をヨウコに褒めさせながらも、




アメリカと違って無料だから救急車を軽症者がやたら使う現実も言及したりもしてました。




バッテラベンチというホームレスが寝そべったりできないための公園のベンチとかも、ホームレスをただ排除したい行政の冷ややかさを感じさせもしましたし、何だかいろいろ今回はメッセージを入れ込んできましたね。




ただ、クドカンの凄みはシゲさんの死をお涙ちょうだい的にせず、ヨウコは心臓マッサージをしながらみんなに笑えと言い、笑い声が聞こえたらシゲさんも笑うから…と言ったらホントににこやかになったところや、




患者を亡くした悲しみを長々引きずらず、救急搬送が来るかもしれないからと、自分の病院へ帰っていくヨウコの切り替えの早さをしっかり見せたのには感心しました。




ちょっとずつ良くなってます。

第5話の評価は…7