水季を支えた津野の喪失感…「海のはじまり」第7話 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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前回は水季(古川琴音)が中絶をせずなぜ海を産むことにしたかが明かされましたが、




今回は水季はどのように海を育て、津野(池松壮亮)はそれをどう支えたかが描かれました。




フジテレビ  月曜21時

「海のはじまり」第7話


主演…目黒蓮

脚本…生方美久

演出…ジョン・ウンヒ




冒頭とラスト近くに同じシーンを見せ合わせ鏡のようになるのがこのドラマの約束ごとになってますが、





今回は水季が海を連れて夏(目黒蓮)の住むアパートの近くまで来るシーンでした。




自分が生きている間に海を夏に会わせるかの葛藤がありながら来てみたけど、弥生(有村架純)と親しげに出てくるのを見て逃げるように戻ってしまったのです。





その後も海が夏に会いたくなったら1人で行けるように、何度か近くまでは行っていたようです。

そのおかげで初回、海は1人で夏のアパートに来れたんですね。





そんな水季が海を産んだあとに図書館に働き出してからのことが、津野の回想で描かれました。




海の生後3か月から働き出した水季は、保育園に海を預けて頑張ってましたが、1歳くらいになると限界になってきたようです。




「大丈夫?無理しないでね」と声をかけた津野に無理しなきゃ死んじゃうよ!とついあたってしまいます。




それまで見守ってきた津野は、親には頼れないと言う水季に、他人の方が頼りやすいだろうと保育園の送り迎えとかサポートすることを申し出ます。




自分はカノジョも子どももいないし、空いてる時間は本を読んでるくらいだからと言う津野に、それまで孤独な感じだったのが生きがいを得たように感じました。




カノジョができたらやらなくていいからと言いつつ、水季は津野の厚意に甘えることにします。





水季が残していた中絶同意書を見てしまった津野は、こんなに苦労しているんだから父親に言うべきと父親の夏をとがめますが、




夏のことをよく知らないのに悪く言わないで!と水季に叱られます。

立ち入らないと言っていたのにいつか津野は心情的に水季側に傾いてしまっていたのです。




朱音(大竹しのぶ)から水季が亡くなったという電話が入るシーンの津野の涙には、胸をしめつけられるものがありましたね。朱音の声は視聴者にはわからないという脚本、演出も良かったしその難題をクリアした池松壮亮の演技が素晴らしかったです。





治療より海といる時間を優先した水季はアパートから実家に戻ると、津野に会えないままほどなく亡くなったんでしょうね。




病気について自分には何もしてあげられなかった空しさは、津野の心を苦しめたはずです。




海を引き取るために水季のアパートを整理しに来た朱音に、津野は手伝うと申し出ますが、朱音は家族でやるから触らないでと拒みます。





朱音ももうちょっと言い方があるだろうとは思いましたね。言葉が足らないんですよね、朱音って。




自分は生きてる間に何もしてあげられなかったからせめて私にやらせて…とか言えばよいのに。




排除された気持ちになった津野は、その後は実家に線香をあげにも来なくなったのです。




水季母娘をサポートすることが生きがいだった津野の喪失感の深さを今回改めて知りました。




興味深かったのは、水季のそばにいて亡くなったことを悲しむそんな津野を夏は「うらやましく」思っていること。




同じように夏の母親のゆき子(西田尚美)は亡くなった大和(木戸大聖)の母親を、弥生は水季を美しい思い出を残せていて「うらやましく」思っているという共通点でした。




水季の骨箱をいとおしく抱く海と、母親の小さな骨壺をどこにも持っていくという大和と共通したところを重ねて見せていましたね。




あと母性=無償の愛という津野の言葉に弥生も、生前の水季も同じように反発するという共通点も興味深いものがありました。




確かに水季も弥生も自分の母親との関係性がうまくいかない共通点がありましたからね。




弥生は水季とは対照的かと思っていた津野は、弥生の中に共通点を見いだし、心を許したようで、水季について聞きたいことがあったら連絡してきてと言えるようになりました。




次回は夏の実の父親(田中哲司)が登場するようです。

クセありげな父親ですね。





第7話の評価は…8