夏ドラマアカデミー賞、続いては最優秀主演男優賞です。
こちらは4作品5人をノミネートしました。
目黒蓮
「海のはじまり」
歌舞伎の役柄に「辛抱立役」と呼ばれるものがあります。
苦しい立場に追い込まれながらも、じっと耐え忍ぶという主役が演じる難しい役どころです。
目黒蓮が演じた夏という役はまさに「辛抱立役」だなと思いながら見ていました。
受け身だけに肚で芝居をすることが要求され、目黒蓮はそんな役を途中体調不良はありましたが、見事に演じ抜きました。
しんどかったと思います。
またスゴいメンバーが脇を固めましたからね。
田中哲司演じる父親を相手に夏が本音をぶちまけた回はホントに吐き出せて良かったねと思いました。
細田佳央太
「あの子の子ども」
W主演した相手役の桜田ひよりは既に最優秀主演女優賞に選ばれましたが、妊娠がわかった福を誠実に支え続ける宝を繊細に演じた細田佳央太の好演も光りました。
学校を休み妊娠、出産にまつわることを詳細に調べたノートのくだりは特に感動的でした。
いろんな役を器用に演じてきた人ですが、普通の高校生をストレートに演じる難しさを見事にクリアして見せました。
中沢元紀、小林虎之介
「ひだまりが聴こえる」
この2人はセットでのノミネートです。
「下克上球児」でも共演し既に親しい2人が、このドラマでは片や後天的難聴で心を閉ざしがちな「陰」の青年、片や食いしん坊でいつも快活で熱くまっすぐな「陽」の青年と対照的な役柄を好演しました。
大学の授業でノートテイクをしてあげて、そのお礼に弁当をあげるというつながりから始まった関係は友情から愛情へと深まっていきましたが、2人の好演で引き込まれて見てしまいました。
今後、他の役柄ではどうなのか?要注目の2人です。
高橋文哉
「伝説の頭 翔」
ヘタレでヤンキ―にカツアゲされがちな高校生と、カリスマ性のあるヤンキーグループのヘッドという二役を巧みに演じ分けました。
役者としてのひ弱さは払拭され、もはや堂々たる主役をはる役者っぷりになってきたのを証明してくれました。
ますます今後が楽しみです。
以上、若手5人をあえてノミネートし、実績のある仲野太賀、中島健人、二宮和也の3人はノミネートしませんでした。
もっとこれぞ!って時にノミネートしたいからです。
そして、最優秀主演男優賞に選んだのは…忖度など無しで…
目黒蓮
「海のはじまり」
おそらく目黒蓮はこういう役がふさわしい俳優なのだと思います。
まだまだいろんな役に挑んではもらいたいですが…
彼自身の真面目さ、丁寧に人と向き合おうとする誠実さが、役とうまくマッチしているからです。
おそらく器用にどんな役もこなすタイプではなく、「目黒蓮」という役者の個性に役を引き寄せるタイプなんだろうと今回の役で強く感じました。
この役はしんどかったと思いますが、彼にとっては今後の糧となる経験だったに違いありません。
まだまだ進化し続けていくでしょう。