昨今の連ドラはとかくネットやSNSで考察して盛り上がってもらえば視聴率につながる…という風潮があり、
そのために、視聴率欲しさにそのドラマ本来のテーマを薄めてしまうという作品もかなり多いように思います。
TBS 金曜22時
「ライオンの隠れ家」第5話
主演…柳楽優弥
脚本…徳尾浩司、一戸慶乃
演出…泉正英
このドラマはそうなってほしくなくて、第3話、第4話はサスペンス色を抑えてホームドラマ色が強めだったので安心していました。
ところが、そのまま行けるわけはなく、今回は大きく事態が動きました。
そのきっかけは工藤(桜井ユキ)の後輩の
天音(尾崎匠海)が、東京にいる愛生(尾野真千子)を隠し撮りに成功、工藤が記事にして出したことからでした。
愛生は行方不明になってるだけで、まるで犯罪者扱いで顔をさらしてスクープするのには違和感がありましたが、
警察も愛生を捜し始め、X(岡山天音)から職場から逃げるように指示が来て、財布を盗んで逃げます。
警察の追跡からも逃げることになった愛生。サスペンス色が否が応でも高まりましたが、ヒューマンな要素はしっかりあってそれには安心しました。
ライオン=愁人(佐藤大空)が大事に抱えているぬいぐるみから、洸人(柳楽優弥)は小さなノートを見つけ、
そこにはママとの約束として5項目が書かれていました。それはいかに洸人たちに一緒に住むようになるかの指示で、それを愁人はしっかり守っていました。
そしてその最後にはライオンのように強くなったら迎えにいくと書かれていました。
ママに迎えに来てほしくて強くなろうと努力してきた愁人は、洸人に強くなったか聞きます。
それを潜伏中のネットカフェで、ぬいぐるみに仕込んである盗聴器を通じてXのスマホから愛生は聞いていました。
これまで無表情が多かった愛生が初めて、母性愛あふれる表情で聞き入り、涙するシーンにグッと来ました。
尾野真千子がなぜこの役を演じているかの意味がしっかりわかった気がします。
スマホを通じて愛生は愁人に会いたいと告げ、遊園地で会うことになります。
愛生に会う前に遊園地で遊ぶ愁人と美路人(坂東龍汰)を見て、洸人は3人での楽しかった日々を思い返し、愁人を愛生に返したらこれも無くなるのかと一抹の寂しさを感じていました。
「何だよ、疲れるな…」と口にはしながら、愁人に振り回された日々は洸人にとっていかにかけがえのない日々だったかが伝わりました。
こういうニュアンスのある演技をこのドラマては柳楽優弥は随所に見せています。
愛生を見つけて愁人が駆け寄る直前に、愛生は警察に捕まってしまいました。
取調室で愛生は自分が息子を殺したと供述します。愛生はなぜそこまで愁人を隠し守りたいんでしょうか?
牧村(齋藤飛鳥)はXに頼まれたのか、愛生に駆け寄る愁人を抱き止めました。
Xは何者なのか?
愛生は誰から逃げているのか?
夫の祥吾(向井理)はDV夫なのか?
それとも祥吾のせいで何者かに狙われるはめになっているのか?
工藤は何を暴こうとしているのか?
いろいろ謎は深まるばかりです。
愁人がまた落ち込んでしまいそうで心配です。
第5話の評価は…8