今回も心に残る良い話でしたね。定時制高校を舞台にしているこのドラマならではのエピソードでした。
丹羽(南出凌嘉)という全日制の生徒が新キャラとして登場し、彼が定時制の科学部のメンバーに協力することになるプロセスが描かれました。
NHK 火曜22時
「宙わたる教室」第6話(11月12日放送)
主演…窪田正孝
脚本…澤井香織
演出…山下和徳
この丹羽という生徒も科学部の4人に劣らずクセ強めで、登場早々に引き込まれました。
演じる南出凌嘉は、どこかで見た子だなと調べたら、私が絶賛した「昭和元禄落語心中」で山崎育三郎の幼少期を演じた子でした。
他にも「ウロボロス」では生田斗真、「あさが来た」では玉木宏の幼少期を演じた名子役で、所属はスターダスト、すでに経験豊富な逸材ですね。
丹羽は全日制でコンピューター部の部長、情報オリンピックで上位を狙う優等生です。
その丹羽が情報オリンピックに向けてのプログラミングをしている部屋を藤竹(窪田正孝)は天井が校内で最も高いので実験に使いたいとお願いしますが、丹羽はそれを拒みます。家ではやれない何か事情があるようです。
実は丹羽は柳田(小林虎之介)と同じ机を使っていて、柳田が机に残したメモを通じて2人は図らずもやりとりすることになり、
柳田は丹羽のいるコンピューター室に訪ねて来て、メモに丹羽が書いた数式の意味を聞きます。
柳田がピュアに聞いてくるのでつい答え
てしまう丹羽。
今回は柳田の熱量にクールな丹羽が引き込まれていくのが見どころでした。
特に印象的だったのは、土下座までしてコンピューター準備室での実験を頼むも、丹羽は家に帰ってしまい、
後を追った柳田が、ひきこもりの丹羽の弟が暴れる場に居合わせて、母親が弟を病院に連れていったあとに丹羽に投げ掛けた言葉でした。
「親を殴るってそう簡単なことじゃないんだ。相手だけじゃなく自分も壊れるから。だから物を壊すんだ。家の中をめちゃくちゃにするのはさ、誰かを傷つけたいんじゃない。きっとその逆だ」
グレていた時期もあった柳田だからこその説得力がスゴかったですね。
父親が別居し出て行ってから暴れだした弟のせいで高校入試もうまくいかず、不本意な高校に入り、
弟のせいだと恨み、情報オリンピックで上位に入り自分の価値を証明することに執着し、弟から目を背けてきた自分を丹羽は悔やみます。
柳田はプログラミングに打ち込むのはそれだけじゃないだろ、と指摘します。
「人って好きでもねぇこと、そんな真剣にできねぇよ」
それは科学部の実験に夢中になっている柳田と重なることだったのです。
科学部の部室を訪ねて、実験について詳しく聞いた丹羽は、柳田だけじゃなくメンバー全員が夢中になってる姿に感銘を受け、部屋を差し出すことになります。
これまで何度も書いてきましたが、今回も柳田役の小林虎之介の熱量のあるまっすぐな演技が光ってましたね。
柳田と丹羽の会話でもう1つ印象的だったのが…
丹羽「今って通信制の高校とかいっぱいあるのに、なんでわざわざ定時制高校なんですかね?」
柳田「ああ…。学校に来てぇからじゃねぇか、学校に。不思議なとこだよな、学校って」
学校に通ったことで科学部のメンバーは変われたわけですから、不思議ですよね。
今回は藤竹の出番は少なかったですが、影響力を随所に感じさせましたね。
見えない存在感とも呼ぶべき凄みを感じました。
第6話の評価は…8