前々回は瀬川役の小芝風花、前回は松平武元役の石坂浩二が退場するにあたって見せ場があり名演技を見せてくれました。
…で、今回は安田顕演じる平賀源内の退場回。最後だから思う存分とばかりに安田顕が怪演を見せてくれました。
NHK 日曜20時
「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第16話
主演…横浜流星
脚本…森下佳子
演出…大原拓
将軍家治(眞島秀和)の世継ぎである家基(奥智哉)の急逝は毒殺の可能性があり、その証拠となる鷹狩り用の手袋は、武元が亡くなった際に何者かに持ち去られていました。
回収しようとした意次(渡辺謙)は毒殺を仕掛けた者が武元も暗殺し、持ち去らせたのだと察知し、これ以上死者を増やさないためにも、この件を深追いしないようにします。
家治は息子の死の真相を知りたがりましたが、それを知ったら家治も殺されかねません。
意次はとぼけるしかありませんでした。
名家は面子を重んじるので家基も武元も殺されたなどと世間に明かすのは恥ずべきことで、あくまで病死扱いにしました。
暗殺する側はそれを見越してやってるんですから恐ろしいですね。
意次から家基の死について調べるよう命じられた源内は、毒殺のことを世に知らしめようと息巻きますが、
源内の身を危ぶむ意次は、源内のためにそれはやるなとたしなめます。
しかし、エレキテルの失敗以降、世評が下がっているのに焦りを感じている源内は意次に逆らおうとします。
これまで盟友として共に歩んできた意次と源内が決裂してしまうこのシーンは、
渡辺謙に真っ向勝負する安田顕の演技が凄かったですね。
怒り、泣き、感情の揺れ動きを凄まじい熱量で演じました。
かつては時代の寵児だった源内は、意次と決裂してからは、さらに零落していきます。
蔦重(横浜流星)から依頼され、家基の毒殺ネタで青本を書こうとしますが、
それを察知されてか、よからぬ連中が近づき、どうやら阿片中毒にされたようで目つきも怪しくなり、あげくは殺人の罪を着せられ投獄されてしまいます。
蔦重や須原屋(里見浩太朗)は源内は無実だと意次に掛け合いに来ますが、源内は獄中で死んでしまうのでした。
また黒幕らしき一橋治済(生田斗真)がラストに出てきて、源内が書いた草稿が焼かれる前で、サツマイモをニヤつきながら頬張る姿が映されました。
セリフ無しで治済を見せ、黒幕はコイツですと示唆するこの手法はインパクトがあり、スゴい脚本だなと思います。
16話の評価は…8