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連ドラについてじっくり語るブログ

連続ドラマでこれは面白いという作品のみをマメにチェック!

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奇しくもこのドラマの放送から 3日後に、パワハラ問題で失職した例の知事さんが、また選挙で当選し返り咲きました。



ハラスメントって難しいと昨今つくづく感じています。

今回のこのドラマでもいろいろ考えさせられました。




テレビ朝日  木曜21時

「ザ・トラベルナース」第5話


主演…岡田将生、中井貴一

脚本…香坂隆史

演出…山田勇人




病院改革をすすめる薬師丸院長(山崎育三郎)は医師や看護師にハラスメント講習を受けさせます。




ハラスメントをしてしまったと自覚のある人は挙手してと講師に言われ、歩(岡田将生)はあげますが、静(中井貴一)は挙げません。



盗み見た歩はびっくりしますが、講師は手を挙げなかった人の方がハラスメントをしている可能性が高いって言ってました(笑)




静と歩はハラスメントっていうより口喧嘩ですが、深刻なのは指導係の吉子(安達祐実)と新人ナースの柚子(森田望智)の関係。




まだまだ未熟な柚子に対して、かなり厳しめに吉子はあたります。

ナースとしてのスキルを上げるためには厳しめの指導もやむなしというのが吉子の考えなんですね。




オジサンである私めはこの吉子の考えにはかなり同意です。実は私めがいるテレビ業界でもいいディレクターになってもらうためには厳しめに指導しないとスキルが上がらない部分はあるんです。




しかし、そうするとパワハラとされてしまいますからね。

吉子は柚子の将来のことを考えて厳しくしているんですから実は優しいんですよね。




吉子に言う静の言葉が納得の名言でした。

「吉子さんは優しい。それだけストレスを感じているということは真剣に考えている証拠。パワハラと言われようが怒ればいいんです。無関心よりマシです」


この言葉に私めは同意です。



いくらひどい仕打ちを受けたからとはいえ、患者に向かって余命のことを喧嘩腰で言うのは、ナースとしての職業モラルの欠如ですね。だから吉子のようにビンタはやりすぎですが…。




それで処分を受けるのは指導係の吉子の方で柚子はおとがめなしってのもどうなのかと思いました。




ま~ハラスメントか指導かは難しいところで、受け手がどう感じるかによるところが昨今の風潮ですね。




会社で部下に散々パワハラをしてきた五味(段田安則)のもとに唯一見舞いに来る社員が言っていたことがそれを示していましたね。




今回、やはり見ごたえあったのは旧友だった静が、死期迫る五味と交わす会話でしたね。




代々の医師の家の御曹司だったのに看護師になった静をいぶかしく思っていた五味でしたが、

「しず坊にはナースがピッタリじゃ」

「最高の褒めことばじゃ」




グッと来ましたね。

ささくれだっていた五味の心を穏やかにして死期を迎えさせてあげた静は、まさに「人を治す」ナースとしてのありようを成し遂げたんですからね。




第5話の評価は…8







こういう時代だからかもしれませんが、ドラマの主人公や、その周りの人物が、ポジティブに前に進もうとする姿を見るのは良いですね。




火曜日は「宙わたる教室」もこのドラマもそうなので、見終わったあとの気分が良くなります。





TBS  火曜22時

「あのクズを殴ってやりたいんだ」第6話(11月12日放送)


主演…奈緒

脚本…泉澤陽子

演出…小牧桜




前回ラストで海里(玉森裕太)に寄り添っていくと、せっかく告白したほこ美(奈緒)でしたが、




翌日、海里に返答を迫ったら、海里はつれなく今まで通りでよいのではと、にべもない返答で、ほこ美は憤懣やる方なくなります。




素直じゃないんですよね。

というか、臆病なんですね、海里は。

恋愛に踏み込むことから逃げてるわけです。




そうとも知らずほこ美は、その怒りをぶつけるかのようにボクシングに没頭します。




その熱量を感じて、羽根木(渡部篤郎)は出稽古に来る他ジムの女性ボクサーとスパーリングしてみたらと勧めます。




やる気満々のほこ美でしたが、こてんぱんにやられてしまいます。




まだ、ボクシングとの向き合い方が甘いからと珍しく羽根木に厳しく言われ、




プロテストを受けると決めて、本腰をいれてボクシングと向き合うことにします。




このドラマでヒロインが魅力的なのは、ボクシングが上達していくにつれ、ほこ美自身も人間的に成長していく姿を見られることで、




がんばり屋さんを演じたら光る奈緒の良さが引き出されています。




片や、海里はカメラマンの仕事、それもスポーツにまつわる写真を撮っていきたいと思うようになり、




スポーツカメラマンの朝倉(安井順平)に弟子入り志願に行くのですが、朝倉に写真を見せると、よく撮れているがそれだけで被写体と向き合っていない、逃げるな!と言われてしまいます。




落ち込む海里でしたが、もう逃げないし、負けたくもないとボクシングに打ち込むほこ美を見て、自分も…という気持ちになります。





ほこ美にアドバイスを与え再度、出稽古に来た相手とスパーリングをやるほこ美を応援にも来ます。





今回は善戦したほこ美を誉める海里は、

好きな写真から逃げないのと同じように、恋愛からも逃げないと決め、素直な気持ちでほこ美にキスします。




玉森裕太って見事な横顔をしてますよね。このドラマでは意図的に横顔のショットが多い気がしますが、美しいキスシーンでした。




さて、恋人となった2人ですが、ほこ美になぜか嫌悪感を持ち裏で嫌がらせをする撫(玉井詩織)と、なぜか海里の足を引っ張ることばかりを裏ではしている悟(倉悠貴)がどんなことをしてくるか気になります。




第6話の評価は…7



今回も心に残る良い話でしたね。定時制高校を舞台にしているこのドラマならではのエピソードでした。




丹羽(南出凌嘉)という全日制の生徒が新キャラとして登場し、彼が定時制の科学部のメンバーに協力することになるプロセスが描かれました。




NHK  火曜22時

「宙わたる教室」第6話(11月12日放送)


主演…窪田正孝

脚本…澤井香織

演出…山下和徳





この丹羽という生徒も科学部の4人に劣らずクセ強めで、登場早々に引き込まれました。




演じる南出凌嘉は、どこかで見た子だなと調べたら、私が絶賛した「昭和元禄落語心中」で山崎育三郎の幼少期を演じた子でした。




他にも「ウロボロス」では生田斗真、「あさが来た」では玉木宏の幼少期を演じた名子役で、所属はスターダスト、すでに経験豊富な逸材ですね。





丹羽は全日制でコンピューター部の部長、情報オリンピックで上位を狙う優等生です。




その丹羽が情報オリンピックに向けてのプログラミングをしている部屋を藤竹(窪田正孝)は天井が校内で最も高いので実験に使いたいとお願いしますが、丹羽はそれを拒みます。家ではやれない何か事情があるようです。




実は丹羽は柳田(小林虎之介)と同じ机を使っていて、柳田が机に残したメモを通じて2人は図らずもやりとりすることになり、




柳田は丹羽のいるコンピューター室に訪ねて来て、メモに丹羽が書いた数式の意味を聞きます。




柳田がピュアに聞いてくるのでつい答え

てしまう丹羽。




今回は柳田の熱量にクールな丹羽が引き込まれていくのが見どころでした。





特に印象的だったのは、土下座までしてコンピューター準備室での実験を頼むも、丹羽は家に帰ってしまい、




後を追った柳田が、ひきこもりの丹羽の弟が暴れる場に居合わせて、母親が弟を病院に連れていったあとに丹羽に投げ掛けた言葉でした。




「親を殴るってそう簡単なことじゃないんだ。相手だけじゃなく自分も壊れるから。だから物を壊すんだ。家の中をめちゃくちゃにするのはさ、誰かを傷つけたいんじゃない。きっとその逆だ」




グレていた時期もあった柳田だからこその説得力がスゴかったですね。

父親が別居し出て行ってから暴れだした弟のせいで高校入試もうまくいかず、不本意な高校に入り、



弟のせいだと恨み、情報オリンピックで上位に入り自分の価値を証明することに執着し、弟から目を背けてきた自分を丹羽は悔やみます。




柳田はプログラミングに打ち込むのはそれだけじゃないだろ、と指摘します。




「人って好きでもねぇこと、そんな真剣にできねぇよ」




それは科学部の実験に夢中になっている柳田と重なることだったのです。

科学部の部室を訪ねて、実験について詳しく聞いた丹羽は、柳田だけじゃなくメンバー全員が夢中になってる姿に感銘を受け、部屋を差し出すことになります。




これまで何度も書いてきましたが、今回も柳田役の小林虎之介の熱量のあるまっすぐな演技が光ってましたね。




柳田と丹羽の会話でもう1つ印象的だったのが…



丹羽「今って通信制の高校とかいっぱいあるのに、なんでわざわざ定時制高校なんですかね?」

柳田「ああ…。学校に来てぇからじゃねぇか、学校に。不思議なとこだよな、学校って」




学校に通ったことで科学部のメンバーは変われたわけですから、不思議ですよね。




今回は藤竹の出番は少なかったですが、影響力を随所に感じさせましたね。

見えない存在感とも呼ぶべき凄みを感じました。




第6話の評価は…8