香港の反政府デモ要因残存を警戒 中国高官 | 中国情報ジャーナル ディープな香港・中国・台湾

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香港の反政府デモ要因残存 中国高官
街頭暴力、外国勢力を警戒
統制強化さらに引き締めへ

 

中国で香港政策を統括する夏宝竜・香港マカオ事務弁公室主任は4月13~18日、香港を訪問し、講演で2019年に発生した大規模な反政府デモについて「混乱要因はまだ暗黒の流れが脈打ち、根絶されていない」「外国勢力の活動、街頭での暴力復活を警戒せよ」と述べ、取り締まりの徹底化を呼びかけた。

 

▲4月15日、香港で公演する中国国務院の夏宝竜香港マカオ弁公室主任

 

4月15日、香港で開かれた記念式典の冒頭、夏氏は講演し、「国家の安全があって初めて香港と各家庭の安全が保たれる。安全と安定があってこそ一国二制度は保たれる」とした上上で「一連の反政府デモは香港版のカラー革命(民主化運動)などでは断じてなく、香港史上、永遠に消すことのできない汚点であり、常に警鐘を鳴らす永遠の痛みだ」と話す。

 

「香港社会は平静に見えるが、実際は暗黒の流れが脈打っている。動乱が発生する根源が依然として残留しているので法治基盤を強固に確立し続ける必要がある」とさらなる統制強化を求めた。

 

国家安全条例を来年内制定 香港行政長官

 

▲4月15日、夏宝竜香港マカオ弁公室主任(左)と握手する香港の李家超行政長官


2020年6月、中国は香港での反体制的な言動を取り締まる香港国家安全維持法(国安法)を制定。中国や香港政府を批判するデモの実施はもはや困難だが、「香港で利益を訴える方法は多種多様であり、デモだけが唯一の手段ではない。民生の利益を求めることが歪曲された政治問題になれば社会に対立が誘発され、前途がなくなる」と述べた上で「人権や自由、民主主義を偽装した一部の反中勢力の活動を軽視してはならない」と警鐘を鳴らし、「外国勢力」への警戒感を強め、香港の人々が「感化」されるのを懸念している。

 

▲香港で国家安全教育日が制定されて一周年を記念した記念式典では専門家たちが登壇した


4月15日は中国が定める「国家安全教育の日」の一周年。19年の大規模反政府デモが学生や若年層の過激化を煽動したことから学校制度を「愛国愛港(中国と香港を愛する)」の教育が不可欠として香港での反体制的な言動を取り締まる香港国家安全維持法(国安法)の制定意義などを啓蒙していく記念日としている。


浙江省トップの党委書記時代の習近平氏を補佐する党委副書記だった夏宝竜氏は小中学校の教師経験があり、香港で推進する愛国教育に適任との評価もあり、習氏側近として重用されてきた。

 

▲4月17日、香港立法会(議会)で演説した後、記念撮影した夏宝竜香港マカオ弁公室主任と香港立法会議員ら
 

4月16日にも香港立法会(議会)で演説を行い、「野党が存在することが民主主義ではない」「抗議活動だけが意見表明の手段ではない」と欧米の民主主義を批判し、中国式政治制度のあり方を強調した。


2020年6月末の国安法施行から今年2月までに香港保安局が収集した同法に関わる告発などの情報は40万件超。3月末までに250人が逮捕、151人が起訴され、既に裁判が終了した71人は全員有罪となっており、民主派には一罰百戒で身動きが取れない。

 

▲4月17日、夏宝竜香港マカオ弁公室主任は一部の香港財界の関係者と会談し、意見交流した
 

4月17日、夏宝竜氏は香港の一部の財界関係者との会談を行った。香港に進出したドイツ企業で構成する香港ドイツ商工会議所(香港ドイツ商会)のヨハネス・ハック会長は「ここ数年、香港の状況は大きく変わり、ドイツ社会の香港へのイメージは変わった。一国二制度のとくに『二制度』が重要だ」と二制度よりも一国ばかり強調する中国当局の姿勢を批判。夏氏は「双方の見方の違いはあっても、わが国は改革開放を継続し、一国二制度を維持していくことに変わりはない」とかわした。

 

4月15日、香港で講演前に手を振る夏宝竜香港マカオ弁公室主任


米国務省が3月末に公表した香港に関する報告書によると、「中国政府は返還後の香港でも高度な自治を認めると明記した1984年の中英共同宣言に反する動きを続け、香港に約束された自治を解体している」「反体制派の摘発を合法化する国安法の下で人権や表現の自由の制限が一層進み、批判的な意見を持つ人々に対する恣意的な拘束・処罰が後を絶たない」と中国を非難している。


李家超行政長官は18日に記者会見で「早ければ年内、遅くとも来年までに香港基本法23条の立法化による国家安全条例の制定を目指す」と改めて表明。夏氏が講演で19年の反政府デモを「国家安全を脅かす警鐘」と解釈し、「反政府活動の残滓(ざんし)が潜伏している」と強く警戒している中央政府の憂慮発言が国家安全条例の早期制定を後押ししていると強調している。

 

香港の地上波テレビ局の番組「国安法事件簿2」で国安法の制定後の動きについて鄧炳強香港保安局長も出演して説明した
 

中国の習近平国家主席は4月10日から13日の4日間、香港と隣接する広東省を視察し、2019年に習近平政権が提唱した広東省(広州、深セン、佛山、東莞、恵州、中山、江門、珠海、肇慶)と香港、マカオの一体発展をめざす大経済圏構想「大湾区計画」(グレーターベイエリア)の重要性を強調。

 

 


世界三大ベイエリアである東京首都圏、ニューヨーク、サンフランシスコ・ベイエリアに続くる世界最大級の都市圏を目指しており、新たな経済圏は香港が新たな付加価値を得られるか、政治的に中国の一都市として厳しい統制を受けて吸収されて色あせるか、瀬戸際に来ている。

※セン=土ヘンに川

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