「いつだって人は過去に左右され、とらわれる…
苦い過去…
ツラい過去…
切ない過去…
大抵、人はそれを引きずっている…」
こんなナレーションで今回は始まりました。
登場人物たちが、それぞれ引きずっている過去が今回のテーマ。
白石(新垣結衣)や緋山(戸田恵梨香)が引きずる過去も描かれてはいましたが、
特に私めが心打たれたのは3人の男たちの過去でした…
フジテレビ 月曜21時
「コード・ブルー」第4話
主演―山下智久
脚本―林宏司
演出―葉山浩樹
日頃は寡黙で、医師として優秀であろうとひたすら努めている藍沢(山下智久)。
フェローたちに軽口ばかり叩いて、患者に深入りしたり、頑張りすぎることを拒んでいる橘(椎名桔平)。
あとは死ぬのを待つばかりの難病で、看護する恋人のはるか(比嘉愛未)に、とかくツラく当たる田沢(平山広行)。
しかし、今彼らがそんな風なのには原因があって、それは過去と密接につながっているのです。
藍沢の過去。
まだ物心がついてない頃に、病気がちの妻を置いて父は家を出て行き、その後母は屋上から飛び降り(または転落)で亡くなり、祖母に育てられた藍沢。
両親についての記憶は、家を出てゆく父に「いい子でな…」と頭をなでられ言われたことぐらい。
自分は親に嫌われて親がいなくなったのだと思いこんだ藍沢は、「ボク、いい子?」が口癖になり、優秀にならなければ人には大事にされないのだと必死に勉強し医師への道を歩んできたのです。
妊娠させた男には逃げられ、自分も産む気がないのに中絶しないまま24週まで来て早産したギャル患者が、自分は子供を育てられるか不安を言うと…
授業参観はいいけど、運動会は無理しても出てやれ…担任と走るのはツラい…
と自分の経験からアドバイスする藍沢。
「一緒にいさえすればいい…ただ一緒にいてやれば…」という言葉には泣けましたね…
藍沢がどんなに親にいて欲しかったか…
その思いが伝わって…
とても重い言葉でした…
まだ母の死の真実はわからないし、今頃になって現れた父(リリー・フランキー)と、どう接するのか?
藍沢にはまだまだ過去と向き合う試練が待っているようです。
一方、橘の過去。
まだ若くやる気満々だった頃に橘は、今回のギャル患者と同じ妊娠24週の早産に立ち会ったのです。
しかし、今回と違い、産まれた胎児は疾患があってそのまま生きることはできず死を待つ状態。そんな胎児に貴重な経験だからと橘は先輩の西条(杉本哲太)から挿管を命じられます。
それをやるからといって、赤ちゃんを助けられるわけではないのに…
小さな小さな赤ちゃんの手を亡くなるまでの5日間、握り続けた橘。
この時の心の傷が大きく医師としての橘を変えてしまったようです。
その頃から橘を知っていて、その後結婚し離婚した三井(りょう)の、「なぜ人は変わってしまうのかしら…」って言葉どおり変わってしまったんですね…
湘北に赴任してきた時、西条に挨拶する際に、「おかげさまで医者になりました」って言ったのは、あの時のことを受けてのことなのかもしれません。
ところで三井と橘はなぜ別れたんでしょう?
2人の間の子供に何かあったんでしょうか?
あと西条も三井のことが好きだったのに橘に取られたのでは?
こちらもまだ謎は残っています。
そして感動的なエピソードがてんこ盛りだった今回ですが一番泣けたのはまたしても…
田沢と冴島のくだりでした。
(T-T)
田沢の過去。
優秀な医大生だった頃、友人の妹で医学部志望の冴島の家庭教師になった田沢。その後医師になっても同期の中で最も優秀で、心臓病のオペを数多くこなしたのです。
しかし、これからという時に難病にかかって医師の道を断たれてしまったのです。
自分が輝いていた過去を思い出さずにはいられず、なぜ俺がこんな目に…と運命を呪わずにはいられない田沢。
看護する冴島に皮肉を言ったり、悪態をついたり…
外見も中身も醜くなっていくと嘆くのです。
冴島がナースになった時にプレゼントしたブローチを、冴島が初めて付けて心情を語ると笑顔を見せる田沢。
笑顔を見せてくれるなら、もっと早くつければ良かった…と悔やむところ…(涙)
抱きつく冴島を抱きたくても、動かない田沢の手の、人差し指だけがもどかしげに動くのが何とも切なかったですね…
いよいよ次回は田沢が亡くなる回のようです…
また泣けるんでしょうね…
「過去は自分が生きた証」というナレーションの言葉がありましたが、過去を消し去ることはできない…
それを自分が生きた証と受け入れていく…
そんな人間の悲しさを今回は考えさせられました。
非常に中身の濃い回でした。
今回の評価は…
ちなみに視聴率は…
16.2%
(前週比1.0%)
やや下がりましたが、次回はまた戻るでしょう…
それにしても…
内容の濃いこんなドラマがもっとあるといいのに…と思わざるをえません…