1話で紹介するには盛りだくさんすぎる内容でした。北乃きいも板谷由夏もいいのでもったいない気がしましたね。
実の両親と暮らすようになり、不思議にも「世界一悪い女」と実母が呼ぶ希和子(檀れい)と同じ不倫相手の子供の妊娠に至った薫のその後の話を、もっとちゃんと見たかったです…
NHK 火曜22時
「八日目の蝉」最終回
主演―檀れい
脚本―浅野妙子
演出―佐々木章光
日本には古くから「空蝉」という美しい言葉があります。蝉の脱け殻のことです。
土の中に長い間いた蝉が、ようやく外に出て、そこから出ていった脱け殻。
しかし、せっかく外に出ても蝉はわずか7日しか生きられない…
それを知りつつ蝉が生きてきた証、それが脱け殻なのです…
そのはかなさが日本人の心の琴線にふれてきたのでしょうね…
希和子と薫にとっても、この蝉の脱け殻が重要なポイントになっていました。
子供の頃、希和子と薫は「八日目の蝉」の話をしました。
みんな7日で死んでしまうのに、8日まで生きた蝉を、薫はそんなの寂しくてイヤと言い、希和子は他の蝉が見られなかった美しい風景を見られるのよ…と言いました。
引き裂かれたあとの希和子と薫は「八日目の蝉」でした。
薫は、実母から希和子のことを「世界一悪い女」と言われ、その女のせいで実母とはうまくいかず、こんな境遇になったのだと希和子を憎むようになり、心に蓋をして記憶を消してしまいます。
そんな薫(今は恵理奈)は、小豆島を訪れ、そこで希和子との写真を見つけ、文治(岸谷五朗)とも出会って、引き裂かれた時に希和子が叫んだ言葉も教えてもらいます。
「その子はまだ朝ごはんを食べてないの…!」
文治から聞かされ、薫は蓋をしていた記憶がいっぺんに溢れてきます。
優しく愛された美しい記憶が…
お母さ~んと号泣するシーンは胸をしめつけられました。
一方の希和子は刑務所から出たあとは、転々とした末に、小豆島に渡ろうと岡山まで来て、そのまま渡らずに…
毎日美しい小豆島を眺めながら、船着き場で働いていました。
薫との美しい思い出を大切に胸にしまい続けて…
そんな二人がラストはニアミス。
薫に似た娘だな…と思いつつも、忙しく働いていてつい声をかけなかった希和子。
しかし、そのコが去ったテーブルに置かれていた蝉の脱け殻を見て、もしや…と希和子は後を追い…
「薫~」と名を呼びます…振り返る薫。しかし…希和子と気づいたのか、気付かなかったかはわからない感じで、また前を向き、行ってしまいました…
このラスト。
私めは、希和子が蝉の脱け殻を持って、もしや…ってところで終わって良かったように思います。
その方が余韻があったし、中絶もやめ前に進むことになった薫の決意の強さを出せた…
あれでは希和子への未練もあるように見えてしまいます。
ちょっと残念でした。
しかし、すばらしい最終回でした。
随所に散りばめられた詩情あふれるセリフやナレーション、浅野妙子の脚本が見事てした!!
今回の評価は…