前作からの積み重ねが生む感動…「JIN」 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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心にじわ~~っとしみこむような感動。
今回の「JIN」ではそんな感動を覚えました。





それは前シリーズから丹念に積み重ねられてきたものから生まれる感動で、これまでこのドラマにはまって見てきたならば、なおのこと強く得られるものでした。





TBS 日曜21時
「JIN-仁-」最終章前編



主演…大沢たかお
脚本…森下佳子
演出…山室大輔





幕府から龍馬(内野聖陽)暗殺の刺客として送り込まれた恭太郎(小出恵介)。





刀を振りおろせば殺せるというところで龍馬を護っていたはずの東(佐藤隆太)が、刀を横に払い龍馬の額を割ってしまいます…





そこまでが前回のラスト。なぜ東が?という疑問は…




実は前シリーズで龍馬を殺そうとし、返り討ちにあった刺客が東の兄で、あなたは私の仇なのだと東は言います。





しかし、それならいつでも殺せたはず…そんな言葉を信じられるかと龍馬は言います。





東本人の口から語られはしませんでしたが、西郷(藤本隆宏)が推測したように…





幕府からの刺客に殺されては、龍馬が苦労して実現させた大政奉還が無になってしまうのでそれを守るために…





自分が手を下したのでしょう…仇討ちという名目で。




その後人知れず腹を切って果てた東が哀れでした。





さて、肝心の龍馬ですが、このために自分はこの時代に来たのだ…と気合いを入れた仁(大沢たかお)の手術で一時は意識を取り戻します。





まだ意識のない時、仁は龍馬に未来ではどんなものがあるかを話して聞かせ、咲(綾瀬はるか)は野風(中谷美紀)からの手紙を読んで聞かせます。





野風が「雪になりたい…」と言った時をはじめ、野風への片思いながら、野風を力づけ続けた龍馬の姿が、読むのに合わせて映し出され…





豪放磊落のようで実は細やかな思いやりのできた龍馬が思い出され、ジーンとしました。





そして意識を取り戻した龍馬と仁のやりとり、ここも泣けました。





コロリの治療で誰も信じてくれない時に龍馬が患者をかついできてくれて仁に対する風向きが変わったこと…





ペニシリン作りの金が足りない時、龍馬が大金を工面して持ってきてくれたこと…





前シリーズの名場面がここでもよみがえります。





龍馬さんは、親友で悪友で私のヒーローでした…





仁の言葉がひとしお胸にしみました…





容態が急変する龍馬。
「わしはちゃんと先生の生まれてくる国、作れたかの?先生のように優しゅうて、ばか正直な人間が笑うて生きていける国を…」





これが龍馬、最期の言葉でした…(涙)





まだまだ、このあとも大変なことが起こるんですよ~と叫ぶ仁の呼び掛けもむなしく響くばかりでした。





西郷率いる官軍は武力で、多くの死傷者を出し、龍馬が望まなかった討幕をおしすすめ、江戸に迫ります。




勝(小日向文世)は西郷と直談判し、以前龍馬が西郷に言ったのと同じことを言って江戸攻めの非を説きます。





以前同じことを言われたと驚く西郷に、「あいつが俺らの真似をしてるんだよ…あいつと俺らは一緒なんだ…あいつは終わっちゃいないねぇんだよ」
この言葉には溜飲が下がりました。





勝と龍馬の師弟愛を、こうした形で描いたことは今までなかったように思います。小日向の名演でした。





そして、今回私めが一番感動したのは、仁が仁友堂を閉じると言い出した時、山田(田口浩正)が言った言葉。





「そのようなお言葉に従っては緒方先生に向ける顔がございませぬ」





そして見せる壁にかかった額。そこには「国の為 道の為」の文字。





緒方が生前に仁に言った言葉がよみがえります。
ここであえて緒方の映像を見せないところに、この文字の持つ重みが出ました。




こうしたこれまでの積み重ねが、ボディブローのようにきいてくる実に感動的な回でした。





最終回を迎えてしまうのが寂しい限りです。





今回の評価は…9