いや~、これを見なかった人はもったいないことをしましたよ…ぜひDVD化されたらご覧になった方がいい…
大竹しのぶが実に10分近くに及ぶ長~いセリフを演じてみせたのです。
フジテレビ 木曜22時
「それでも、生きてゆく」第5話
主演…瑛太
脚本…坂元裕二
演出…永山耕三
加害者の父親駿輔(時任三郎)が被害者の母親響子(大竹しのぶ)に謝りたいと洋貴(瑛太)に言いにきたのを受けて…
これまで会おうとしなかった母親に洋貴は会ってみたら…と勧めます。
次男の耕平(田中圭)が婿養子に入った日垣家に同居させてもらってきた響子…
母さんは今の暮らしで十分幸せなんだから余計なこと言うな…と耕平は兄をなじりますが、母親にはもっと幸せであって欲しいと願う洋貴…、そのためにも加害者家族とちゃんと向き合って…と迫ります…
ある日、行き先も告げず響子は居なくなってしまい、警察に連絡しようかという時にふらりと戻ってきます…
何をしていたんだ?という問いに響子が淡々と話し始めます。
ここからが大竹しのぶの9分以上、一人でしゃべり通す長セリフ。
これを書いた脚本家の大竹ならやってくれるという確信があってのものに他なりません。
娘が殺された場所に行ってきた話に始まり…これまで日垣家に甘えて身を寄せてもらっていたけど…
そんな暮らしの中でも心に闇を抱えて生きてきたことを明かします。
「みんな私と同じ目にあえばいいと思って、ずっと生きてきました…」
「優しくされると、あなたに何がわかるの…って思いました」
…耕平の舅(段田安則)ショック
「子供を連れた母親を見ると疎ましく思いました」
…耕平の妻(村川絵梨)ショック
「前向きに生きようって言われると死にたくなりました」
…そう言ってきた耕平ショック
「母親から子供取ったら、母親じゃなくなるんじゃなくて、人じゃなくなるのかもしれません…」
心に突き刺さるセリフでした。
今まで自分のせいで娘は死んだと思うようにして、殺した少年のことは考えないようにしていた…
しかし、響子は心に決めたのです。少年に会いに行き、娘を返してもらう…と。
いや~、まさに息詰まる緊張感…9分以上があっという間にというくらいに引きこまれました。
人間が心の奥深くに抱えるものをえぐり出す演技…
それはもはや正気と狂気の境を漂う感じ。
これができる女優は、そうそういるものではありません。
ただ、この大竹しのぶの長台詞には圧倒されましたが…
その前にあった双葉(満島ひかり)と洋貴のシーンも、非常にいいシーンでした。
ちょっとだけ自分を変えられるとしたら…という話で
洋貴は「カラオケに行かない?」とか人に言ってみたい…と言い、
双葉はスプーンを曲げられるようになりたい…と言います
このへんの2人の会話は、実に自然に演技でないかのような空気感…
すると洋貴が…
「そのうちうまくいきますよ…つらいこといろいろあると思うけど、そのうちうまくいきますよ…」
この言葉で双葉は自分の母親のことを洋貴が知ったのだとわかり…涙目に…
「もう一回だけ言ってもらってもいいですか?」
「うまくいきますよ…遠山さん、頑張ってるから…」
心を通いあわせる実にいいシーンでした。
瑛太と満島ひかりの演技の質の相性の良さを改めて知る思いでした。
ところで前回、サスペンスフルに自分の正体を知る女(安藤サクラ)を連れだし殺すのかと思った文哉(風間俊介)。
脅すだけですみました…
脅すときの無表情さに、冷酷さを匂わせてましたが…
双葉が身を寄せた祖母のいる老人ホームに文哉も現れました…
うーん、なぜ、ここが?
ますます不気味です。
今回の評価は…