うーん、「運命の人」同様に強引な部分も無いわけではないのですが、その欠点を凌駕するだけのパワーと見ごたえが、このドラマにもあります。
NHK 日曜20時
「平清盛」第4話
主演…松山ケンイチ
脚本…藤本有紀
演出…渡辺一貴
今回は何と言っても中井貴一の素晴らしさに尽きます!
このドラマの忠盛役と「最後から二番目の恋」の和平役を見ると、いかに中井貴一が今、役者として充実した時期にあるかがよく分かります。
今回は清盛(松山ケンイチ)の父親である忠盛が、武士として初めて殿上人に昇格を許されるものの…
それを疎んじる藤原摂関家の長、忠実(國村隼)の腹いせで辱しめを受けたり、
対抗するべき立場ながら冷遇されている源氏の棟梁源為義(小日向文世)から命を狙われるという話。
(為義に忠盛闇討ちを示唆する…いかにも策略家めいた國村隼の面構えが絶妙でした)
武士が王家に媚びへつらうのを「王家の犬」と呼び、そうはなりたくないと思っている清盛は、昇格を喜ぶ父親の姿を快く思っていませんでしたが…
斬りかかろうとする為義に言い放つ「わしは王家の犬では終わりたくないのだ」という言葉を陰から聞いていた清盛は、後から忠盛にいつからそう考えていたのかを聞きます。
すると忠盛は「お前を我が子として育てると決めた時からじゃ…平太と呼びかけたとき、わしの心に揺らぐことなき軸ができたのじゃ」と清盛に言います。
この2つのシーン、特に為義に争いは我々が力をつけてからで良いのでは…と言ってからの「王家の犬で終わりたくないのだ」の迫力は、
忠盛の姿が更に大きく見えて、中井貴一の演技のスケールの大きさを見せつけてくれました。
清盛に本心を明かすところも、完全に清盛を圧倒し、「お前が思う以上に殿上は面白きところぞ…」と笑いながら去るあたりの余裕…清盛が尊敬する偉大な人物父親を見事に演じきっていました。
松山ケンイチは変な顔芸が気になりますが、まっすぐに演じている姿が好感が持てます。
あまりに不甲斐なく描かれすぎていて、小日向文世の為義が源氏の棟梁に見えにくいのが、ちょっと気にはなりますが…
毎度毎度、屈折した感じを出し続ける三上博史の鳥羽院も、少ない出番ながら強烈な存在感を見せています。
檀れいの璋子のふてぶてしさも私め的にはツボです。
今回の評価は…