坂元裕二という脚本家は23歳の若さで「東京ラブストーリー」を大ヒットさせ一躍スター脚本家になったわけですが、
2007年、40歳で書いた「わたしたちの教科書」あたりから作風が辛口になっていき、人間を深く鋭くえぐるようになり、以降「Mother」「それでも、生きてゆく」「最高の離婚」「Woman」と秀作を生み出してきました。
今まさに円熟期にある脚本家の1人です。その坂元が今回はどんなテーマでどう書くのか?
そこに私めは大変興味がありました。
フジテレビ 木曜22時
「問題のあるレストラン」第1話
主演…真木よう子
脚本…坂元裕二
演出…並木道子
私めが身を置くテレビ界はかつては正直言ってセクハラ、パワハラがそれはひどい世界でした。
今はだいぶ改善されましたけどね…。女性は強くなり、男性は逆に弱くなってきましたから。
とはいえ社会的にはいまだに根強く残っているようで、昨年も女性議員にセクハラやじが飛んで、その議員はバッシングされてましたよね。
そんなこともあってか企画されたのが今回のドラマのようで、こんな会社、今どきまだ存在するのか!?と思うほどそれはそれはひどいセクハラ、パワハラが横行する会社がこのドラマでは描かれています。
手ぬるく描いては、ヒロインが行動を起こすきっかけにはならないので、あえて刺激的なほど極端に描くというのが坂元裕二のもくろみだったと思います。
連ドラの初回というのは、登場人物をどのように紹介しながらストーリーを進めていくかに、脚本家の手腕が問われるわけですが、
今回は今後ヒロインたま子(真木よう子)とレストランをたちあげていくメンバーが、ビルの屋上に続々集まってきて、彼女たちの口から、たま子がどんな人物で、どんないきさつがあったのかを語らせるというユニークな手法を取りました。
つまり、ヒロインは彼女たちの語る回想の中には登場しますが、実際ビルの屋上に現れるのはラスト近くになるというものでした。
ビルの屋上に集まってくるのは誰もがいわくありげな個性的な女性たち(1人女装のゲイはいますが)ばかり。
オリジナル作品の強みからか演じる役者に合わせてキャラづけをしているふしもあり、YOUにせよ、臼田あさ美にせよ、二階堂ふみにせよ生き生きと演じていて、今後に期待がふくらみました。
これまで凛とした少女を演じることの多かった高畑充希が小ずるくしたたかなたま子の同僚を器用に演じているのと、安田顕が女装のパティシエをいたってナチュラルに演じているのも印象的でした。
そして役作りでちょっと体重を増やしたらしい真木よう子は、親友の恨みを晴らそうとする強さと、心のこもった料理を出したいというピュアさをうまくブレンドさせて演じていて、これまでの彼女と違う新境地になりそうです。
彼女たちの目の敵になる雨木社長を演じる杉本哲太と土田部長を演じる吹越満、このところ善良な役の方が多かっただけにインパクトのある敵役ぶり。演じる側としては悪い方が楽しいのかもしれません。
個性的なメンバーでどんなレストランになっていくのか?
おもしろい群像劇になっていきそうです。
今回の評価は…