「天皇の料理番」というタイトルである以上、こういう最終回であるべきだろうという制作スタッフの思いがしっかりと詰まった最終回でしたね。
これまで篤蔵(佐藤健)とそれを支える人々のドラマに主眼が置かれていましたが、周太郎(鈴木亮平)も俊子(黒木華)も亡くなり、
最終回では逆に篤蔵が戦前。戦中、戦後と料理番として昭和天皇(たぶん梶原善)にいかに仕えたのかを駆け足ながら見せました。
テーマをしぼったので、90分という拡大版ながら一切たるみのない見事な構成だったと思います。
TBS 日曜21時~22時30分
「天皇の料理番」最終回
主演…佐藤健
脚本…森下佳子
演出…平川雄一朗
ある晩餐の際に肉に糸を巻いて焼く料理で、よりによって取り除くはずの糸が残った皿が、天皇に出されてしまい、天皇の御前に呼び出された篤蔵は天皇からある言葉を言われます。
それは視聴者には伏せられたままストーリーは進んでいき、最後にその種明かしがされ、あの時の言葉あってこそ、篤蔵は必死に天皇に仕えてきたのだな…と分かり、感動するラストとなりました。
GHQを招いての食事会で辱めを受けても耐えて、池の中で鴨の真似をするシーンなども、極端な描き方ではあれ、敗戦後の日本人がいかに耐えて、そこからナニクソと戦後復興に貢献したかが分かるエピソードでした。
GHQの高官が日本人にとって天皇とは何なのか?との問いに答える宇佐美(小林薫)の言葉も、いかにも宇佐美の言葉らしくて、非常にうなずけるものでした。
料理人らしく天皇を「味噌」にたとえるのが面白いなと思いました。
俊子の遺した鈴がいろんな局面で篤蔵の癇癪を抑え、退官の際に御前に召される時までずっと大事にされているというのも静かな感動を呼びました。
そういえば顔を見せずにもったいぶっていたバンザイ軒の料理人は結局誰だか分かりませんでしたね。
余談ですが…
息子たちはてっきり戦死するものと思っていたので無事帰ってきて良かったです。娘はどうしたのかも気になりましたが、そのへんの話はごっそりえぐられてしまいました。
2クールかけてもっとじっくり見たかったドラマです。
今回の評価は…