こういうドラマはなかなか稀有ですね。
ただムードだけの癒し系ファンタジーでも、説教くさいヒューマンドラマでもないユニークさを最後まで貫いてくれました。
フジテレビ 火曜21時
「僕らは奇跡でできている」最終回
主演…高橋一生
脚本…橋部敦子
演出…河野圭太
一輝(高橋一生)が、最終回にしきりと口にした「光」という言葉は「可能性」と置き換えたら、より分かりやすかったかもしれませんね。
一輝の考える光は無限大。「宇宙に行きます!」という大言壮語も有言実行してしまうラストでした。
一輝は極端でしたが、一輝が影響を与えた人々の変化が、それぞれきちんと描かれていたのは良かったですね。
特に印象的だったのは教え子4人組の中で、最も地味で普通な須田(広田亮平)が、自分も変わりたいけど何をしたらいいか分からない…と悩みを口にするシーン。
一輝が飛び抜けた存在であるとすれば、このドラマを見て多くの人は須田と同じように感じたことでしょう。
その答えを鮫島(小林薫)が講義中に学生たちに語ります。
最終回で私めが最も感銘を受けた言葉です。
「(アイスの木の)スプーンが他の物と比べて何ができるとか、できないとかじゃない。ただそのものを活かしきること」
そうなんですよね。「変わる」というのは自分の中にある可能性をいかに引き出し、活かすかなんですよね。
大抵の人は周りに合わせて、望まれる自分になるために窮屈に生きている。
そんな枠組みに縛られていた育実(榮倉奈々)や樫野木(要潤)や、虹一少年の母親(松本若菜)、教え子たち、それぞれの変化を見ることができました。
沼袋(児嶋一哉)の真似をして新庄(西畑大吾)がYouTubeを始めたのも微笑ましかったし、育実と助手たちとの関係性の変化もニヤリとさせられました。
ずっと怪しく思っていた山田さん(戸田恵子)が口にする大河原さんは存在しないことも、一輝が明かしてくれました。
何でも架空の大河原さんのせいにしていた山田さんがちょっと切なかったです。
一輝が宇宙に行っている間は寂しいでしょうね。
群像劇としてもよくできていたドラマでした。
最終回の評価は…