伊丹監督の傑作「マルサの女」を冒頭の振り込み詐欺の本拠への警察のガサ入れシーンを見て思い起こしました。
現代社会を描くにあたって振り込み詐欺はじめ、さまざまな詐欺をテーマにするのは、非常に着眼点として良いし、これぞNHKという気もします。
NHK 土曜21時
「サギデカ」第1話
主演…木村文乃
脚本…安達奈緒子
演出…西谷真一
「透明なゆりかご」「きのう何食べた?」と傑作を次々生んでいる脚本家の安達奈緒子。
上記2作品は原作ありきのドラマでしたが、こちらはオリジナル作品。
脚本家の真の技量が問われます。
同じく原作ありきの「重版出来!」や「逃げ恥」が良かった野木亜紀子が続くオリジナル作品の「アンナチュラル」で真価を試されたように、安達奈緒子も全5話とはいえ注目されますね。
単に詐欺の実態をリアルに暴くのみならず、詐欺に加担する掛け子の青年、加地(高杉真宙)の背景もしっかり描いたり、
騙された老人、悦子(泉ピン子)とその息子(金山一彦)の親子の機微をきちんと描いたりとか、
今ノッている安達奈緒子ならではの筆運びの勢いを感じました。
高杉真宙は「サイン」の刑事役より格段に良いです。悲惨な境遇を経て手にしたしたたかさを的確に演じてました。
刑事役で出ている清水尋也が演じても面白い役だったでしょうね。
今後、加地がどうからむのか気になります。
ヒロイン今宮役の木村文乃はまっすぐさが武器ですが、キャラにもうひとひねり欲しい気もします。
いずれにしても全5話なのが惜しい良質な作品になりそうです。
今回の評価は…