感動したわけでも、泣いたわけても笑ったわけでもないのに、ただただその展開に引きずり込まれた作品なんです。
1991年 春ドラマ
フジテレビ 木曜22時
「もう誰も愛さない」
主演…吉田栄作
共演…山口智子、田中美奈子、薬丸裕英、観月ありさ、伊藤かずえ、伊武雅刀
脚本…吉本昌弘、中山乃梨子、林誠人
演出…楠田泰之、赤羽博、中島悟
主題歌…ビリー・ヒューズ「Welcome to the Edge(とどかぬ思い)」
もう、かれこれ30年近く前の作品ですから、若い読者の皆さんはご存知ないでしょう。
あ~懐かしい!と思われるのは私めに近い世代の方々だと思われます。
実は個人的なことになりますが、このドラマが放送された頃に私めは結婚し、妻と「このドラマ、スゴいね~」とハマって見たドラマなので、思い出もまたひとしおなんです。
なぜ、スゴかったかというと、当時「ジェットコースタードラマ」と評判になったくらい、とにかく主人公はじめ主要な人物の境遇がめまぐるしく変わっていき、展開がスゴかったんです。
前半は主人公の卓也(吉田栄作)がヒロインの美幸(山口智子)と恋仲になりながらも、悪女の小百合(田中美奈子)にそそのかされ、
銀行勤めの美幸に金を横領されのしあがっていくまで。
後半は、家族も死に、卓也の子も流産し、誤って人を殺し、刑務所に入った美幸が、
騙されていた真実を知り、「もう誰も愛さない」と誓い、復讐の鬼と化し、卓也や小百合をどん底に突き落としていく…という展開。
何しろ、主要な人物の大半が死んでしまうドラマで、特に殺されバラバラにされてゴミ袋に入れられた伊藤かずえの死に方のインパクトにはギョッとしました。
好青年キャラの薬丸裕英がレイプとかもしてしまうワルいヤツを演じたのも新鮮でした。
やはり、このドラマを面白くしてたのは吉田栄作の吉田栄作らしさで、成り上がったり、落ちぶれたりと呆れるばかりの境遇の変化を、小細工しない演技でストレートに演じきったのは彼ならではでした。
その後もいろんなドラマに出ましたが、これが吉田栄作のキャリアハイ、最上のハマり役だったと思います。
同じように田中美奈子もこの役のイメージが強烈すぎて、この後はこれに勝る当たり役には恵まれなかったように思います。
そんな二人に比べて、このドラマの役のように、山口智子はその後も「ダブルキッチン」「29歳のクリスマス」「ロングバケーション」と作品や役に恵まれ、順調にキャリアアップしていきました。
あの当時はインパクトが強く楽しんで見られましたが、今改めて見たら古くさいかもしれません。
あの頃に見たからこそ良かった作品なのかもしれません。
記憶の中で強烈に輝き続ける作品です。