思い出の連ドラ回顧シリーズ…「それでも、生きてゆく」 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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私めは度々書いてますが、連ドラはまず優れた脚本ありきだというくらい、脚本は重要と考えています。




思い出の連ドラ回顧シリーズも、三谷幸喜、岡田惠和、宮藤官九郎といった名脚本家の傑作を取り上げてきましたが、




この人の作品を選ばないわけにはいかないのが坂元裕二です。




かつて90年代に若くして「東京ラブストーリー」を書いた坂元裕二は、一時はドラマの脚本に嫌気がさして離れた時期もあり、2010年に「Mother」を書き高い評価を得てからは、シリアスな作風が確固たるものになりました。




「Mother」を書こうかとも思いましたが、あえて「Mother」や「最高の離婚」「カルテット」でなく、「Mother」の次に書いたこのドラマにしました。





2011年 夏ドラマ
フジテレビ  木曜22時
「それでも、生きてゆく」

主演…瑛太
共演…満島ひかり、時任三郎、大竹しのぶ、風間俊介、田中圭、風吹ジュン

脚本…坂元裕二
演出…永山耕三、宮本理江子、並木道子
主題歌…小田和正「東京の空」



私めが、このブログを始めたのは、視聴率の高い連ドラが必ずしも良い作品とは限らない、




残念ながら視聴率が良くない作品にも見るべき作品はあることを知ってもらいたくて…というのが1つの大きな動機でした。




そういう意味で、このドラマはより多くの人に見てもらいたくて、熱を込めて記事を書いた覚えがあります。




放送をご覧になっておられない方は、ぜひ配信でご覧になりながら、私めの拙い記事を読んでいただければと思います。




2011年の夏、春に起きた東日本大震災の傷が癒えてない時期に、実に重苦しくシビアな題材でこのドラマは放送されました。




瑛太演じる主人公の洋貴は親友に妹を殺され、満島ひかり演じるヒロイン双葉は、殺したその親友の妹。



一人の少年が犯した罪のために苦しめられてきた被害者家族と加害者家族が、洋貴と双葉が近しくなったことで、皮肉にも関係性が深まっていく…



そのプロセスが坂元裕二らしいヒリヒリしたタッチで描かれました。




脚本もスゴかったんですが、そのハードルの高い脚本を見事に演じてみせたキャスト陣がまたスゴかったです。



どんな相手にも自在にリアクションする瑛太のしなやかにして肝のすわった演技。

豊かな感情表現で、苦しみから抜け出そうとするたくましさを見せた満島ひかりの一途な演技。



そんな二人もさることながら…
圧巻は娘が殺されてから加害者家族に嫌がらせを続けていた洋貴の母親、響子を演じた大竹しのぶの鬼気迫る演技。



第5話の心に溜め込んできたものをすべてぶちまける10分近くに及ぶ長ゼリフは、大竹しのぶじゃなきゃできないと思わせる、それはそれは凄まじいものでした。
この回は特に見ていただきたいです。




放送当時、私めは録画を3回も見てしまいました。




そして、もう一人スゴかったのが、親友洋貴の妹を殺した少年Aの文哉を演じた風間俊介。




罪をまだ悔いていない狂気を帯びた心の闇を、実にリアルに演じて、ゾッとさせました。



ホント、凄まじいですよ、風間俊介って。




大震災のあとの命について、いろいろ考えさせられた時期に、それでも、生きてゆく…前向きさを描いたのは、根底に人々への優しい眼差しがあるからで、それが坂元裕二の魅力でもあります。