長瀬智也&クドカンの円熟…「俺の家の話」第1話 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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脚本家と主演俳優が共に成長を遂げてきた稀有な例として、長瀬智也と宮藤官九郎は、テレビドラマ史に残る名コンビだと思います。




「池袋ウエストゲートバーク」「タイガー&ドラゴン」と傑作を生んだ二人が、さまざまな経験を重ねた末に見せる円熟の境地、このドラマは長瀬智也&クドカンコンビのまさに集大成になりそうです。




TBS  金曜22時
「俺の家の話」第1話

主演…長瀬智也
脚本…宮藤官九郎
演出…金子文紀




「池袋ウエストゲートバーク」の時、宮藤官九郎は29歳、長瀬智也21歳。
「タイガー&ドラゴン」の時、宮藤官九郎は34歳、長瀬智也は26歳。




そして、今回、宮藤官九郎は50歳、長瀬智也は42歳。
二人が歩んだ道のりを思えば感慨無量なものがあります。
これが二人がコンビを組む最後の作品になるかもしれないのです。





…で、二人にとって思い入れのあるこの作品。
長瀬智也が演じるのは能楽師の人間国宝の息子ながら、親に逆らいプロレスラーになった寿一。




プロレスラーとして落ちめの寿一は、父の寿三郎(西田敏行)が倒れて危篤と知り、久しぶりに実家へ。




命はとりとめたものの、自宅で要介護の状態になり、仕事のある弟(永山絢斗)や妹夫婦(江口のりこ、ロバート秋山)に代わり、寿一がプロレスラーをやめ介護することに…って話でした。





寿一のプロレスの試合を見せながら、寿一のこれまでを紹介するあたりは、クドカンらしいトリッキーさを感じましたが、




割と真っ当にケレン味なくホームドラマをつむいでいました。





ここに50代に入ったクドカンの円熟を感じました。
とんがりまくっていた粗削りな「池袋ウエストゲート」から、とんがりも残しつつ、落語というアナクロなものに挑んだ「タイガー&ドラゴン」




…で、今回は能楽という難解な伝統芸能をいかにドラマに取り込むか。





クドカンの中では「タイガー&ドラゴン」での脚本や、歌舞伎で作・演出した経験などが活きて、そこは巧みにドラマに織り込んでいました。




このドラマのために増量しプロレスラーらしくなった長瀬智也は、介護しながら、改めて父とのこれまでの関係性を考えさせられます。




自分勝手には生きていられない、ままならぬ人生のほろ苦さを突きつけられる。




そんな40代になった男の悲哀を、クドカンは40代になった長瀬智也に演じさせるようです。




父の入浴の世話をするシーンは、おかしくも切ないシーンでした。




寿三郎が認知症が始まっていると分かるシーン寿一の息子が学習障害とか、シリアスな要素もはらみながら、割とカラッと描いているのが救われます。





戸田恵梨香の後妻業っぽい介護ヘルパーがどう話をややこしくするか、気になります。




今回の評価は…