「生きるとか死ぬとか父親とか」と並んで、春ドラマの中では脚本家の構成力の高さを感じさせる作品です。
日本テレビ 土曜22時
「コントが始まる」第2話
主演…菅田将暉
脚本…金子茂樹
演出…猪股隆一
まず、私めがこのドラマの脚本で感心しているのは、前回は春斗(菅田将暉)と里穂子(有村架純)それぞれの視点から語り手が替わって描かれたことが、
今回は春斗の相方の潤平(仲野太賀)と瞬太(神木隆之介)の視点から、マクベスがなぜ結成されどんな思いで続けてきたかをまた描いたというところです。
語り手を替えることで、それぞれの過去や人物的な背景も手際よく説明していく鮮やかさに感心したのです。
これはそれぞれが主演してもおかしくない若手実力派の4人が揃っているからこそ成せるわざでもあるわけですが…
潤平は実は好きな奈津美(芳根京子)を自分の方に目を向けさせたいからコントをやろうと思ったとか、春斗に声をかけたのは3人めだったとか、意外なことがわかっていく感じは面白かったですね。
「木更津キャッツアイ」で宮藤官九郎が表裏で描いたことを更に複雑にした感じです。
文化祭で初めてコントをした時に、春斗はまばらな観客にがっかりだったのに、潤平は奈津美が見に来てくれて笑ってくれてたから満足だったというのも面白かったですね。
ゲームでチャンピオンになり学内のスター的だった瞬太は、実は父親が若くして亡くなり、自分も早死にするんだと思っていたこと…
つい、屋上から飛び降りたくなった時に、春斗に声をかけられ救われたこと、春斗たちから誘われなくても、自分からマクベスに入りたいと思っていたこと、などが分かり、
とらえどころのなかった瞬太の人物像も鮮やかに浮き彫りになりました。
このドラマは現代が舞台なのに、回想の高校時代も現在の貧乏暮らしもアナクロな昭和の匂いがするのも、我々オジさんには懐かしさを覚えます。
怒鳴りあって喧嘩する春斗と潤平なんて、昔の青春ドラマのような熱さでした。
もう1つ脚本で感心したのは、マクベスのコント、今回なら「屋上」を切れ切れに見せてストーリーにからませながら、
ラストにコントの中で、潤平と瞬太の視点から描かれたものを見事に締めくくってみせたこと。
今回のラストにはちょっとしびれましたね。
また、里穂子のマクベス愛の強さも前回に続いて、瞬太の過去のインタビュー記事や、潤平の匿名のブログまでおさえてるスゴさを見せてくれました。
キャラづけの増幅も手抜かりはありません。
実力派4人に、今回は芳根京子まで加わり、このドラマのキャスティングは絶妙です。
彼らを取り巻く伊武雅刀や鈴木浩介、マネージャー役で中村倫也と大人たちも適役ぞろい。
今後もどんな構成の妙を感じる脚本なのかますます楽しみになった第2話でした。
今回の評価は…