今回また持ち直してくれました。
ちょうど国会で菅総理が五輪について同じ答弁を繰り返すという出来事がありましたから、社会風刺がピリっと効いていました。
NHK 土曜21時
「今ここにある危機とぼくの好感度について」第3話
主演…松坂桃李
脚本…渡辺あや
演出…堀切園健太郎
自分では意識が変わったと思っていながら、相変わらず意味のないことしか口にしない神崎(松坂桃李)
今回は大学創立100周年記念イベントで多様性についての連続講座を行うことになりますが、
そのトリを務めるジャーナリストの浜田(岡部たかし)がネットで炎上騒ぎになり、大学にも苦情電話が殺到。爆破予告まで来るありさまに。
理事たちは安全面からイベント中止を進言。
浜田が外国特派員協会の記者会見で言論の自由を主張したので、大学側も見解をのべなければならなくなり、三芳総長(松重豊)が記者会見に出ることになります。
三芳の教え子だった神崎は、三芳総長の好感度を下げてはならないと想定問答集を作るんですが…って展開。
その想定問答を広報課長(渡辺いっけい)や、室田教授(高橋和也)、新聞部員らの前で披露し、意見を求める神崎。
しかし、流石は神崎で、できた問答は当たり障りなく、何を聞かれても「学生の安全を第一に…」の一点張り。
彼らや理事たちの前で熱く語る神崎の持論が笑えましたね。
中身のない答えだから良いんだと。
中身がなければ記事に大きく取り上げられる可能性は低い…
日本人に嫌われる原因はいつも「意味」で、意味を最小限に控えることが日本における正しいリスクマネージメントなんだと…。
これにはことなかれ主義の理事たちも絶賛。
しかし、当日、三芳総長は浮かない顔で、気にした神崎は言いたいことを言ってくださっても…と声をかけます。
「そんなに簡単なことじゃないんだよ」
本来は学生から慕われる考古学者だった三芳は、指示通りに同じ答えを繰り返しますが、最後の質問に立った記者のキング牧師の言葉を引用しての訴えで心に火がつきます。
「問題に対して沈黙するようになった時、我々の命は終わりに向かい始める。そして最大の悲劇は悪人の暴挙ではなく善人の沈黙である」
今のコロナ禍での失政にも、大半が沈黙し我慢している日本人に響く言葉ですね。
三芳総長は理事たちにも安全を確保し、イベントは予定通り行うと強く断言します。
しかし、このドラマにはもうひとひねりあって、三谷(岩井勇気)が今回総長が強権発動したのはそれが前例となり総長独裁にもつながるし、政府の言いなりにもなる恐れがある…というのには考えさせられました。
三芳総長の言った簡易なことじゃないとはそこまで含んだ発言だったんですかね。
今回はいろいろ考えさせられる回でした。
今回の評価は…