この枠で「夜行観覧車」「Nのために」「アンナチュラル」「MIU404」と秀作を作り続けてきた新井順子Pと塚原あゆ子Dのコンビ。
充実のその仕事ぶりから、この作品もおのずと期待度は高かったのですが、初回を見た限りでは期待を裏切らぬ作品になりそうです。
TBS 金曜22時
「最愛」第1話
主演…吉高由里子
脚本…奥寺佐渡子
演出…塚原あゆ子
初回から視聴者の心をわしづかみにするような凝縮された内容の好スタートを切りました。
岐阜の美しい自然の中で、キラキラと輝くような大学陸上部の寮夫(光石研)の娘、梨央(吉高由里子)と陸上部のエース、大輝(松下洸平)との恋。
しかし、その甘美さとは一転、寮に来た渡辺という男により、まがまがしく謎めいた闇に引きずり込まれ、
梨央は渡辺にクスリを盛られたかして、その渡辺を殺してしまったのか?
それをかばって父親は渡辺の死体を埋め、血染めの服を処分しようとしたのか?
サスペンスフルにすべては語られず謎を残しながら、たたみこむように語られていき、父親はくも膜下出血で死んでしまいます。
それから15年後、梨央は離婚した母親(薬師丸ひろ子)の経営する企業グループで製薬会社の社長になっており、
梨央を訪ねてきた渡辺の父親(酒向芳)が殺されたので、その重要参考人になります。
皮肉にもその事件を担当するのが今は刑事になっている大輝。
梨央は大輝に向かいクールに「はじめまして」と言い放ちます。
15年前から今につながる事件の裏側に何があるのか?
興味がいやが上にも高まる巧みな作りになっていました。
15年前の初々しい少女から、クールな女社長に変貌した吉高由里子の演じ分けも見事でしたし、
逆にまっすぐな情熱は変わらない大輝を演じる松下洸平の、今が旬の輝きも魅力的です。
二人を取り巻くキャストもいろいろと怪しげで、梨央の過去を調べさせる後藤専務(及川光博)や、後藤が雇うフリーライター(田中みな実)や情報屋(高橋文哉)。
彼らの動きも気になります。
ちょっと出るだけで、ピリっとした雰囲気を高める薬師丸ひろ子の存在感も、流石!という感じでした。
今年は「にじいろカルテ」(冬クール)、「あのときキスしておけば」(春クール)で個性的な役を演じた井浦新は、このドラマでは割と普通な弁護士役。
この人が演じていると何かあるのでは?と勘ぐってしまいますが…(笑)
いずれにしても今後の展開が楽しみな、秋ドラマでは出色の作品です。
今回の評価は…