いや~~、見ごたえのある最終回でしたね。
初回に劣らぬ、一切ムダなく畳み掛ける疾走感で、すべての謎を一挙に片付けてしまいました。
その上で単なる謎解きに終わらせず深い感動を与えるという、サスペンスとしては極上の最終回だったと思います。
私めはネタバレを恐れてリアルタイムで見て、この記事を書くためにまたじっくりと見直しました。
TBS 金曜22時
「最愛」最終回
主演…吉高由里子
脚本…奥寺佐渡子
演出…塚原あゆ子
最終回を見終えてこのドラマは「家族(ファミリー)の絆」の物語だったのだと痛感させられました。
とても印象的だった達雄(光石研)のセリフがあります。
梨央(吉高由里子)を守るため渡辺(朝井大智)を刺した優は、少年法で守られると加瀬(井浦新)は言うのですが、達雄はこう言います。
「法律の物差しで言わんでください。私は家族の話をしている」
これなんですよね。
法律家である加瀬はこの言葉のために、亡くなってしまった達雄に代わり、梨央と優(高橋文哉)を、たとえ法律を逸脱しようと守ることになるんです。
達雄と一緒に渡辺の死体を遺棄し、優が息子を刺したと分かり警察に通報しようとする昭(酒向芳)を自らの手で殺してしまいます。
達雄の言葉と合わせ鏡のように、逃亡前の加瀬は大輝(松下洸平)にこんな言葉を残します。
大輝「なぜ踏み越えた?」
加瀬「法律では守れないものがあるからです。私が思うことは1つしかありません。2人には一点の曇りもない人生を送って欲しい。それだけです」
加瀬の自己犠牲によって、梨央も優もいまわしい過去から解き放たれ、心からの笑顔を取り戻しました。
達雄から加瀬に引き継がれたものは、これからは大輝が梨央や優の家族となり、守っていくのでしょう。
たとえ、血のつながりは無くとも、家族のような絆でつながっているという意味では、梓(薬師丸ひろ子)と後藤(及川光博)や加瀬の関係もまたしかりでした。
梓は後藤の罪を自分のものと引き受けようとしましたし、自分のペンを加瀬に渡したのは加瀬の罪も気づいていたのかもしれませんね。
拘置中の梓に後藤が会いに行き、これ以上罪を隠して生きていくのは耐えがたいから「私もそちら側に行きます」と告げるシーンも印象的でした。
会社のためを思うがゆえにファミリーの1人として、後藤は愛が強いために道を踏み誤ったのかもしれませんね。
そういう意味では、息子がいなくなったことで、息子の行状を知ろうともせず、探し回り続けた昭も、家族への強すぎる愛ゆえに殺されるに至ってしまったとも言えます。
愛ゆえに人は道を誤ることもある…
そんな切なさ、残酷さを伝えてくれたドラマでした。
改めて「最愛」とはシンプルにして深いタイトルだったと感銘を受けています。
ここまで緻密に作り込んできたことを評価し、最終回は…とします。