このドラマは原作無しのオリジナル脚本なので、セリフはすべて脚本家が考えたものなわけですが、
脚本の吉澤智子はいいセリフを書きますね。毎回心に響く名言が出てきますが、今回は特に明里(井川遥)のセリフが良かったです。
TBS 火曜22時
「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」第5話
主演…上野樹里
脚本…吉澤智子
演出…土井裕泰
以前にも書きましたが、私めはこのドラマが杏花(上野樹里)をめぐる晴太(田中圭)と颯(磯村勇斗)の争いになっていく方にはあまり興味がなくて、
林太郎(松重豊)が辞書編纂者であることからくる言葉の意味について考えさせられるセリフの数々や、
微笑ましくも、人生経験がある者同士だからこその繊細な林太郎と明里の交流を楽しみに見ています。
今回は林太郎が亡き妻(八木亜希子)の思い出をいつまでも引きずらずに、前向きになろうと婚活をしているのに、
それがいかに自分に無理を強いているかが、妻との思い出や、その形見のショールをからめて描かれました。
明里が林太郎に言うセリフが、今回特に心に響きました。
「前ばっかり向いていたら疲れちゃいますよ」
「私たち歳をとった分、いろんな思い出があって、そういうのみんな引きずって、でも時々振り返りながら歩いていけたら、それで十分じゃないですか」
いや~深い言葉ですね。
いかに林太郎が亡き妻に支えられてきたか、その思い出を大切にしているかを聞いていた明里だからこそ、言える言葉でもありましたね。
他人の手に渡りそうになったオレンジのショールは、かつて辞書編纂者に選ばれず悔し涙を流した林太郎を、人目からかばうため頭にかけてくれたショールで、
同じことを林太郎は、明里にもしてあげたのです。
ショールに執着して情けないと言う林太郎に明里は…
「情けなくたっていいじゃないですか。沢田さんの心の中にいる奥様に私も助けていただきましたから」
これも素敵な言葉でしたね。
今回は明里が名言連発で、杏花になぜ独立したかを聞かれた時も、
「将来、愚痴だらけのおばあちゃんになるのがイヤで」
これは杏花に響いたようです。
ふんわりとした柔らかさの中に芯の強さをのぞかせる井川遥の演技に今回は感心しました。
林太郎はよき相談相手、パートナーを得ましたね。
今回の評価は…8