声を上げてくれなきゃ救えない…「石子と羽男」第1話 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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私めが現在、最も信頼を寄せている連ドラ制作チームがTBSスパークルの新井順子Pと塚原あゆ子Dのコンビです。




特にこの金曜22時枠では、「最愛」「MIU404」「アンナチュラル」「Nのために」と秀作を量産しています。

その流れをくんで、この作品にも期待度ランキング2位の期待を寄せたわけですが…




TBS 金曜22時

「石子と羽男~そんなコトで訴えます?~」第1話


主演…有村架純、中村倫也

脚本…西田征史

演出…塚原あゆ子



サブタイトルに「そんなコトで訴えます?」とあるように、多くの弁護士主役のドラマが扱うような派手でお金になる民事裁判でも、事件の真相に迫る刑事裁判ではなく、身近なちょっとしたトラブルを扱うというのが、このドラマのオリジナリティーです。




舞台は商店街のはずれにある小さな法律事務所。事務所長の潮(さだまさし)と娘の硝子(有村架純)が細々とやって困っている人を助けています。




そこに弁護士として雇われるのが、高卒で司法試験に受かった自称「天才弁護士」の佳男(中村倫也)。





硝子は東大卒ながら4回も司法試験に落ちていて、もうパラリーガルのままでいいと諦めかけている、融通がきかないカタブツなので、石田硝子を縮めて石子。





佳男は天才弁護士と言いながら、司法試験に受かったのは、驚異的な記憶力のおかげで六法全書にあること以外には対処できず固まってしまうらしい実はワケアリ弁護士で、羽根岡佳男を縮めて羽男。





この石子と羽男がコンビを組んで、いがみあいながらも持ち込まれた案件に向き合っていくようです。





原作のないオリジナル脚本で、脚本が舞台の脚本、演出経験のある西田征史なので、舞台の会話劇のように、有村架純と中村倫也が丁々発止と長ゼリフの応酬を繰り返します。




難しい法律用語もまじえてのやりとりですが、有村架純も中村倫也も舞台で鍛えられた経験があるので、セリフをスラスラと難なく繰り出します。




また、オリジナルで役者にあて書きでもあるので、石子は有村架純に合っているし、羽男は中村倫也にはまさにうってつけの役です。




「凪のお暇」も「珈琲いかがでしょう」も良かったですが、こういうデリケートな皮肉屋のような役がこの人の本領のように思います。





今回はカフェで来るたびに充電しているので損害賠償を求められた大庭(赤楚衛二)がそんな金払えないと泣きついてくるところから始まります。





まさにそんなコトで?って話でしたが、それが前フリで、なぜ大庭は毎日そのカフェにいたかということから、大庭への社内いじめやパワハラが明らかになっていきます。




とかく、日本はもめ事を嫌ったり泣き寝入りしたりする国民性があり、訴訟に持ち込んだりはなかなかしないんですよね。




でも大庭の上司の矢野支店長(丸山智己)が大庭にしたことは、羽男があげつらったように、さまざまな罪に相当するんです。




しかし、それを訴えようとしない大庭や同僚たちに石子は言います。


「なぜ、声を上げないんですか?」

「人間関係を円滑にするためのルール、それが法律なんです。そのルールにのっとり声を上げる行為は情けなくもないし、少しも間違っていません!」




間違っていることには、勇気をもって声を上げよう!それはこのドラマのテーマかもしれません。





また、このドラマ、ユニークだなと思ったのは、矢野を単純にやりこめ、懲らしめるのではなく、そんな矢野にも事情があってその行為に及んだのではと、羽男がいろいろ話を聞こうとしているところでした。




ちょっとしたひとひねりですが、単純な勧善懲悪ではすまない世の中の難しさを匂わせて良かったです。




夕陽の使い方など、塚原あゆ子の映像の細やかなこだわりぶりも随所にうかがえ、どんどん魅力的な作品になるよう期待したいと思います。





今回の評価は…8