NHKで社会派ドラマを書いてきた渡辺あやが民放で書くというので、どこまで民放らしくない作品を書いてくれるか期待してましたが、
期待に背かず、歯ごたえのある硬派のドラマになりそうです。
TBSでは企画が却下されたそうで、企画を通したカンテレに拍手を送りたいです。
フジテレビ 月曜22時
「エルピス~希望、あるいは災い~」第1話
主演…長澤まさみ
脚本…渡辺あや
演出…大根仁
主人公、浅川(長澤まさみ)は元報道番組のエース女子アナでしたが、報道記者の斎藤(鈴木亮平)との路上キス写真を撮られ番組降板、
人気も落ちて、今では後輩アナが司会する深夜番組でコーナーを担当する程度の扱いに。
スキャンダルでかなり精神的にもダメージを受けたようで、不眠や拒食症、吐き気などにも悩まされているようです。
プロデューサーは早い段階でこれは長澤まさみにと考えていたようで、長澤まさみも快諾、それだけ本人も意欲的のようで、女子アナの発声でなりきっているのにまず感心しました。
そんな浅川のもとに、その深夜番組でディレクターをしている岸本(眞栄田郷敦)が死刑囚の冤罪について調べて番組にしないかと持ちかけられます。
岸本は番組に出ているボンボンガールを口説いた音声をネタに、ヘアメイクのさくら(三浦透子)に脅され、それを依頼されたのでした。
岸本は浅川のスキャンダル相手とは知らずに、入社時にお世話になった斎藤にも相談します。
どんな役にもなりきる鈴木亮平は、今回は大物政治家にもグイグイくいこむ報道のエース記者を、実にそれらしく演じています。
しかし、スキャンダルがあっても女性の方ばかりダメージを受けて、男性の方はおとがめなしって感じがマスメディアの男社会さを感じさせますね。
元報道だったのに深夜バラエティのプロデューサーになり、やさぐれてる感じの村井(岡部たかし)の浅川へのセクハラ、パワハラも酷いものでしたしね。
今の自分から抜け出したい浅川は、岸本の熱意に触発され、覚悟を決め、その気になるのですが、
事の重大さが分かってきたら、岸本は引け腰になり、さくらに断ろうとします。
すると、さくらはなぜこの死刑囚を救いたいのかを語ります。
三浦透子はアカデミー賞を取った「ドライブ・マイ・カー」で一躍知名度を上げましたが、
実は子役から始めて芸歴は長く、「鈴木先生」でも個性的な生徒役で評判になっていた人なんです。
この役もキーパーソンで陰のある役をしっかり演じてくれそうです。
そして、さくらの過去を聞いた岸本が最後に言った「僕は善人じゃない…」という独白に驚かされました。
何?この岸本にも闇があるのか?
育ちが良くて順風満帆じゃなかったの?
相変わらず目力の強い眞栄田郷敦ですが、この役ではまた新たな進化を見せてくれそうです。
主要人物それぞれに含みがあって、このドラマ、油断がなりません。
どんな展開になるのか楽しみです。
今回の評価は…8