初回を見て一番の感想は、草なぎ剛は民放連ドラ主演のブランクなど何ら関係なく、スゴい役者であることをしっかりと証明してくれたなということ。
NHKでは大河ドラマ「青天を衝け」の徳川慶喜や、「拾われた男」の兄武志で凄みを見せてましたから、さもありなんではあるんですが…
フジテレビ 月曜22時
「罠の戦争」第1話
主演…草なぎ剛
脚本…後藤法子
演出…三宅喜重
さてこのシリーズは復讐劇という決まりがあり、今回は何に主人公は怒り、復讐をめざすかが、明確に描かれた初回でした。
草なぎ剛が演じるのは、初めて大臣に任命された民政党のベテラン議員、犬飼(本田博太郎)の秘書、鷲津。
鷲津は犬飼に恩義があるらしく、滅私奉公で尽くしてきたようで、その就任パーティーで見せるプロフェッショナルぶりはほれぼれする見事さでした。
それが当然かのように淡々とこなしていく凄みは、最近では「ザ・トラベルナース」で中井貴一が看護師役で見せたものに通じるものがありました。
しかし、そのパーティー中に鷲津の息子が事故で救急搬送され、意識不明に。
歩道橋から転落したか、突き落とされたかよくわからないってことでしたが、後日見舞を持ってきた犬飼は、誰かに頼まれたらしく、
これは事故ってことにしてくれと頼み、鷲津が渋ると自分の息子がやった横領の罪をかぶせてきて、脅し始めます。
最後には土下座までして頼みこむ犬飼に、鷲津は要求をのむのですが…
そのあとの怒りがスゴかったですね。
「ナメられたもんだよな。あんな安っぽい土下座で。泰生をなんだと思ってる…！」
そうですよね。秘書はいかに議員の土下座が安っぽいか知ってるわけですから。
犬飼を大臣の座から引きずり下ろし、真犯人も見つけ出して苦しみを味あわせる…と復讐を誓う鷲津。
「アイツらに教えてやる！踏みつけられたらどれだけ痛いか…。弱いやつには弱いやつなりの戦い方がある！」
このセリフの時の草なぎ剛の表情は、まさに鬼神の如くで、それまで淡々としていただけに、この怒りの迫力はスゴいものがありました。
この手の復讐劇は敵役がいかに憎々しいかが重要ですが、「わ、し、づっ」という呼び方からして嫌悪感を与える本田博太郎もナイスでしたし、
卑劣きわまりない虻川役の田口浩正も小悪党ぽくて良かったです。
虻川にハラスメントを受けてる蛍原(小野花梨)と犬飼に恨みがあるらしい蛯沢(杉野遥亮)ら後輩を味方につけ、
これからどんな罠を仕掛け復讐していくか楽しみです。
総理が高橋克典、老獪な幹事長が岸部一徳、初の女性首相候補の厚労大臣に片平なぎさと周りのキャストも手揃いです。
今回の評価は…8