このドラマでは通報者側の映像は見せずに電話を通しての声だけ聞こえるという演出を貫いています。
通報者はみな声優さんが演じているようですが、声優さんの力量によって、やけに芝居がかったしゃべりをする人もあれば、
電話の向こうの緊迫した状況がリアルに伝わってくる人もいます。
今回のクライマックスのエピソードで父親が心筋梗塞になった夫婦の声を演じた島崎信長と井上麻里奈は見事でしたね。
電話を受ける与呉役の一ノ瀬颯の演技も良かったんですが、書き添えておきます。
フジテレビ 月曜21時
「119エマージェンシーコール」第4話
主演…清野菜名
脚本…小柳啓伍
演出…水田成英
今回は救命救急士の資格を持ち元救急隊員だった与呉がフィーチャーされました。
これまで3話と脚本担当が変わりましたが、通報者とのやりとりのウエイトが一番多い回でした。
本来描くべきはそこだと思うので歓迎すべき方向性ですね。
今回テーマとなったのは通報者に「絶対に助ける」と言ってよいかという点でした。
幼い頃、家が火事になった時、通報したら管制員に「絶対に助ける」と言われ勇気付けられた過去がある粕原(清野菜名)は自分もそうありたいと、とかく簡単に言ってしまいがちです。
しかし、いくらそれを言ってもかなわない時もあります。実際高齢な主婦から夫の様子が変だと通報があり、やりとりする間にも容態は悪化、
救急車が着くまで粕原は通報者に心臓マッサージをするよう求めますが、高齢なので無理をさせられず、亡くなってしまうということがありました。
そんな粕原に与呉は簡単に「絶対に助ける」と言うべきではないと苦言を呈します。
かつて救急隊員をしていた頃、与呉は「絶対に助ける」と少女に約束したのにその親を助けられなかった苦い過去があったのです。
新島(見上愛)はここぞという時に言いたいと言うし、
堂島(佐藤浩市)はそう言いたくなったら言えばいいんだと考え方は人それぞれです。
…で、クライマックスのエピソードに。
サービスエリアから同行している妻の父親の様子がおかしいと与呉に通報が…。
話すうちに心筋梗塞を起こしているらしいとわかりAEDを持ってこさせ、それでもダメなら心臓マッサージをさせます。
夫が救急センターへ運転する間、妻は必死に心臓マッサージを続けます。
鼓舞するように「イチ!ニ!イチ!ニ!」と言い続ける与呉。
「絶対に助けますから!」と言ってしまいます。
まるで自分もその場にいてやりとりを聞いているような臨場感。かたずをのんで見守り、こちらも息苦しくなるほどでした。
一ノ瀬颯はキャリアを積んで成長しましたね。良かったです。
4話の評価は…8