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連ドラについてじっくり語るブログ

連続ドラマでこれは面白いという作品のみをマメにチェック!

その内容紹介、批評、さらにヒット分析など、あらゆる情報を連ドラ好きの方々のために提供するブログです。

このドラマは中島健人演じる保田弁護士のキャラがチャラっとしているので、とかく軽んじられがちですが、




実はネット社会では悲しいかな当たり前になってしまった誹謗中傷への痛烈なアンチテーゼが込められているんですね。




テレビ東京   金曜20時

「しょせん他人事ですから~とある弁護士の本音の仕事~」第7話


主演…中島健人

脚本…小峯裕之

演出…村上牧人



今回は前回からの続きで、人気ゲーム配信者のあじぇるの配信中にアンチコメントを大量に流したり、ネットにあった自宅情報を転用してさらしたりして荒らした中学生優希とその親たちのその後でした。




優希は保田に相手にされず、いい加減な弁護士ドラゴン星川(袴田吉彦)に依頼しますが、




ダメもとみたいな言い分だったので簡単に跳ね返され、1週間以内に150万払えという要求が来ます。




優希の家族は再度保田にお願いすることに。保田は和解と裁判とどちらにするか聞き、時間も金もかかる裁判より和解をすすめます。




和解申し入れのため、保田と優希と父親(勝村政信)は、あじぇるとその父親、弁護士と会うことになります。




あじぇるは山梨の女子高生で、謝罪する優希を、その文章は自分で書いたのか?とか、名誉棄損の意味とかを優希に詰問します。




そして、一番聞きたがるのはなんであんな酷いことを自分にしたのか?でした。




優希は答えられません。

いたたまれずに父親は土下座して平謝りします。




保田はその場をフォローするように、いくら聞いても理由なんか無い。大した理由もなくやったことなんだと言います。




腹いせやストレス発散、ねじれた正義感などこれまでこのドラマが扱ってきた誹謗中傷と違い、




この理由もない軽い気持ちでの誹謗中傷が最もタチが悪いかもしれませんね。

その理不尽さを痛感しました。




あじぇるはせっかく手にした自分の居場所を奪われたんですからね。





優希はどこまで、その罪の深さを理解したんでしょう。

土下座した父親はカッコ良かったなんてことでお茶を濁されてもなと思いました。




まあ、自分の言葉で再度あじぇるあてに手紙を書くそうですが…




第7話の評価は…8





ここまで見てきて航平(中沢元紀)と太一(小林虎之介)はそれぞれどういう性分か、丁寧に描かれてきているのでよく分かるんですね。

なんでそんな言い方をしてしまうのか…




今回も仕事を本腰でやっていくために、大学を辞めようか悩む太一をめぐって、2人は切ないすれ違いを起こしてしまいます。





テレビ東京   水曜24時30分

「ひだまりが聴こえる」第10話


主演…中沢元紀、小林虎之介

脚本…川﨑いづみ

演出…牧野将




道でたまたま会った犀(池田良)に気に入られ、企業向けに障がい者対応の研修を行う犀の会社で働くことになる太一。




研修も手伝ったりして、やりがいを感じていきます。




いきいきとやる気がみなぎり働く太一を見て、犀は正社員にならないかと誘います。




1つのことに熱心になったら、それに邁進するのが太一。

正社員になるなら大学は辞めないといけないと思うようになります。




そのことを航平に相談すると、航平は太一と離れるのは寂しいはずなのに、太一のためにはその方が良いからと、





自分のことは気にしないでいい、ノートテイクも他の人に頼むからと言ってしまいます。




本音では、お前が必要だからと引き留めて欲しかった太一は、航平のつれない言葉に腹が立ち、だったらいいよと思うのです。




またこんなすれ違いかと思ってしまいましたが、仕方ないんですね、お互いそういう性分なんで。




航平はマヤ(白石優愛)にはいかに太一が自分を変えてくれた存在だと言っていただけに、なぜそれが伝わないかともどかしく思いました。





第10話の評価は…7













コロナ禍を乗り越えてようやく平和な世の中を取り戻したはずなのに、もしもまた新たなウイルスが感染しパンデミックになったらどうなるのか?




しかも、そのウイルスに「歌舞伎町ウイルス」というありがたくない別名がつけられてしまったら…




奇才、宮藤官九郎はそんな近未来を描くことで、改めてコロナ禍のことを再検証するという奇抜なアイデアをこのドラマの終盤に持ってきました。





フジテレビ   水曜22時

「新宿野戦病院」第10話


主演…小池栄子、仲野太賀

脚本…宮藤官九郎

演出…澤田鎌作




アメリカで発生した新型のルミナウイルス日本人初の感染者は、アメリカ旅行から帰国した歌舞伎町のホスト凌介(戸塚純貴)でした。




至って元気そうに見えたのですが、大仰な扱いで隔離され、心配して駆けつけた母親も会うことすら許されません。




たまたまその勝どき医療センターに研修で来ていたヨウコ(小池栄子)は、隔離病棟に潜り込んで、テレビ電話で会話をさせてあげます。



コロナより早く、発症5日後には死ぬというWHOの発表通りに凌介はあっさり死んでしまいます。

コロナ禍では多くの人が感染した家族を面会も看とることもなく…でしたよね。





SNSでは第1号は歌舞伎町のホストというのが特定されて拡散し、ルミナウイルスは別名歌舞伎町ウイルスと呼ばれることに。




まごころ病院では感染患者を受け入れるか否かでもめます。

高齢者の母親のいるしのぶ(塚地武雅)や幼い子のいる横山(岡部さとし)は院内感染を恐れます。




患者を受け入れることにしたので2人は帰宅せずホテルに寝泊まりして働き続けることになります。




今回は随所に声高ではなく、コロナ禍であったことをチクチクと皮肉るセリフや描写がありました。





例えば、感染患者を受け入れると申告すれば補助金が出て、実際は受け入れずに補助金で儲かった病院があったこと。



屋外でもマスクをつけてるなんてナンセンスなこと。



外国人を目の敵にして、排斥しようとする自粛警察が横行すること。




ECMOの数が足りず、それが空くか空かないかで生死が左右されてしまうこと。




そして、何より痛烈だったのは感染者が出たからと悪い噂がたつと人が寄り付かなくなり、飲食店も風俗店も休業に追い込まれ、




トー横キッズも路上売春もパッタリいなくなったことでした。




自分がやってきたNPOの活動は何だったのかと虚しくなった舞(橋本愛)のセリフが印象的でした。


「人間の言うことは聞かないのに、ウイルスの言うことは聞くのかよ!」




そして、無症状だったために感染しても

気づかず父親の啓三(生瀬勝久)にうつしてしまったことを詫びる享(仲野太賀)に対して叱咤するヨウコのセリフも良かったです。




「謝るな、軽々しく。すいませんって何なん?お前悪くない、誰も悪くない。人間もウイルスも生きようとしとるんじゃ!」

「お前ウイルスに勝った、親父はウイルスと戦っている、それだけ。誰も悪くない」




このパンデミックをいかに乗り越えるのか最終回に期待します。





第10話の評価は…8