長~い記事になるかもしれませんが、こちらのドラマも8話と9話をまとめての記事にして、来週の最終回に備えたいと思います。
NHK 火曜22時
「宙わたる教室」第8、9話
主演…窪田正孝
脚本…澤井香織
演出…一色隆司(8)、吉川久岳(9)
8話で科学部は解散の危機となり、9話でまた学会発表に向け再出発するという浮き沈みが描かれ、どちらの回も見ごたえがありました。
まずは8話。この回のサブタイトルは「メテオライトの憂鬱」
早速メテオライトって?と調べたら「隕石」のことでした。
せっかく科学部の研究が順調に進んでいたのに、岳人(小林虎之介)のかつての不良仲間の三浦はそんな岳人が自分から離れてしまうのが許せず、半グレ仲間を引き連れ乗り込んできて、実験設備を壊す乱暴を働くのです。
これがサブタイトルの「隕石」なのかと思いましたが、そのあとについてる憂鬱って?と引っ掛かっていました。
三浦たちが暴れたのは岳人がいない時で、あとから来た岳人が怒りに燃えると、長嶺(イッセー尾形)はまだあいつらとつながっているのかと聞きます。
岳人にしてみれば、もう関係ないと思っているのですが、向こうはそう思ってない…という長嶺の言葉は言いえていました。
焦るなとたしなめるのに、岳人は急がなければと焦るし、自分の仲間が壊した負い目もあり、その後アンジェラ(ガウ)がミスったらそれをきっかけに荒れ始め、長嶺に殴りかかったりして佳純(伊東蒼)は怯えて過呼吸になるわ、雰囲気は最悪に。
岳人以外は科学部に出なくなってしまいます。三浦が隕石かと思いきや、科学部の中で誰より熱心に実験に励んでいた岳人が皮肉にも隕石になってしまったのです。
長嶺は藤竹(窪田正孝)に岳人に対する懸念を話します。
岳人は科学部の実験に夢中になっていて、大学に行き藤竹のように研究者になれたらと夢をふくらませていました。
しかし、そんな岳人を応援したい気持ちは山々でしたが、長嶺は人生の辛酸をなめてきたので心配でならないんです。
「身の丈に合わないことをしようとする人間に世間は厳しい」
「夢に向かって必死になればなるほど、それがやぶれた時の傷は深い」
「次にまた大きな挫折を味わったらどこまで落ちていくかわからん」
長嶺だから言える言葉ですね。
岳人に寄り添い藤竹は岳人の思いを聞くんですが、ここで静かに涙を流しながら岳人が話す本音が痛ましかったです。
学習障害があっていろんなことを諦めてきた岳人は、科学部に入り、夢をふくらませ、これは諦めたくないと思っていたのに、結局うまくいかなかった…
「諦めるのって、ツラいよな」と漏らす岳人が痛ましかったです。
これまでも何度も褒めてきましたが、今回も怒りや嘆き、悲しみ、苦しみ、さまざまな感情をデリケートに演じ分けていました。
続く9話ですが、藤竹自身の話になり、なぜ藤竹が定時制高校で科学部を作ったか、その真意が明かされました。
それは藤竹が石神(高島礼子)となぜ衝突し、大学を離れたかにもつながっていました。
石神の研究室でおこなった研究で、高専から来ていた生徒がとりわけ熱心にやってくれたのに、論文に書かれたメンバーからは外されたのです。
石神にそれをとがめると、石神は高専の生徒の名前なんか入れたら、研究の格が落ちると一蹴されます。
8話で長嶺が言った「身の丈」って言葉がここでまた思い起こされました。
科学の前では誰でも平等のはずだという信念、それを証明してみせたくて、藤竹は科学部のメンバーに研究をさせてみたんです。
それは藤竹にとって実験でもありました。そうか~、実験だったのかと思いましたが、藤竹と出会い、科学部に入ったことで自分は変われたと思い返したメンバーは科学部に戻ってきました。
藤竹が助言を求めて訪ねた恩師の伊之瀬(長谷川初範)は、実験は想定外の結果が出てからが本番だという言葉に後押しされます。
科学部のメンバーが藤竹と出会ったように、藤竹もこの恩師と出会えたことが大きかったんだなと改めて思いました。
岳人は三浦に自分を殴らせに行き、自分は変わってないし、一緒に過ごした時間はなくらならないと変わらぬ友情を伝えました。
三浦もこれで岳人への執着を捨て、自分も何とかしなければと考え始めそうです。
藤竹と科学部のメンバーは再出発しました。
8話がツラい展開だったので、9話のラストの喜びはまたひとしおでした。
8話、9話ともに評価は…8