この映画に限らず、インド映画は「ファクション」が如何なる物か心得てないとお口ぽかんで始まってそのまま終わる可能性が高いです。「なんでいきなりそんな大勢で殺し合いを始めるの?!」と。まあ簡単にいえば縄張り争いなんですけど。
ただその「縄張り」が様々なんですよね。土地であるとか商売上の区分けであるとか選挙区であるとか。そこに利権も絡むし、インドの場合は出自の問題もあるので細かい事は多分日本人にはよく分からないのです。まあ要するに、縄張りを巡って血で血を洗う抗争を一族あげて延々続ける人達がいるんですよ
日本と違うのは、それを堂々とやってる地域には司直の手が及ばないって事ですね。インド、法治国家だと思ってましたが、広すぎて、かつ歴史も長すぎて、法の手の届かない地方も多いらしい。地域によっては警察の買収も当たり前。という訳で周囲が納得する事情があれば殺人は問題にされないらしいです。
で、「ファクション映画」では対立する家同士の抗争における殺人を咎めに来る人はまずいないのですね。身内の誰かが殺されれば仇討ちし、その仇をまたとって、の繰り返し。その辺は日本のヤクザ映画と同じなんですが、インドの場合は血縁関係で結ばれているので仇への憎しみがより強いのです。