「ごはん大好き!」 ~ NEO ~






       「 ちかごろはね

      和のものが いいなと 思うようになったの 」

      ママくんは のんきに でも うっとりと言う



      ママくんのいう  和のものって

      だいたいが カップやお皿 なんだけどね


      1個づつ 手作りの ごつごつした カップたちは

      両手で そっと つつんで いると

      やさしく かたりかけてくる かんじがするんだって


      マグカップが ママくんに なにか かたりかけているのを

      ボクは 一度も 見かけたことが ないけどね


      
      「 今までの 洋ものは  すこしづつ

      ダンシャリ しようかな 」 と あっさり つぶやいたママくん


      ドキっ!!!

      洋ものって  その中に ボクも入るの ?



      気をとりなおして ボクは ゆっくり考えてみた

      ボクが 生まれたのは  さいたま県で

      えいごは チンプン カンプンだけど にほんごなら 少しわかる


      それに なんといっても

      クリスマスより お正月のほうが  だんぜん好き!


      クリスマスは たったの1日で いちごしか もらえないけど

      お正月は たっぷり1週間くらいあって たくさんのウマウマ~をもらえる



      だけど 好きな理由がウマウマだってことは ナイショにしておこう  



      ボクは ニホンで生まれて  和をたいせつにする

      りっぱな  いや ふつうの ニホンのわん なのだ!



      そのことを  ママくんに しっかり アピールしておこう

      この寒い 冬空の下で  ダンシャリなんか されないように 








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「ごはん大好き!」 ~ NEO ~



       
       ボクのともだちに はんぞう というなまえの 女の子がいる

     さいしょ 女の子なのに はんぞうなの? とボクは思った



     はんぞうちゃんの イケメンパパは すこし 照れくさそうに


     うちに来る子は たとえ女の子でも はんぞうって決めてたんだといった



     はんぞうちゃんのうちは はっとりさん


     みんな 笑いながら そっかーと なっとく してくれるんだって



       

             
     ボクのかぞくは ボクをかぞくにするかどうか まだ決めていなかったとき

     「くろ」って ボクをよんでいた


     
「くろー、 うちに来る? うちでいい?」 と 言っていたね


     だから ボクは このうちに来た あの日


     「NEO よろしくね」って いわれても なんだか ぴんと こなっかたよ



     今では ボクが少し はなれた場所で ウトウトしてるときでも


     NEOという声が 聞こえたら 耳をすましてしまう
けどね

       

     こんなふうにして  
     
     ボクたちの仲間は みんな いろんななまえをつけて もらっている



     ひとなつっこくて びじんの はんぞうちゃんの名前も

     どこか こころを そそるような ひびきがあって いいなとボクはおもう


     なによりも かぞくとして むかえるぞっていう

     いきごみと あいじょうが これでもかっていうくらい つまっている



     ボクたちは どんななまえでも かぞくがあたまをしぼって

     つけてくれた なまえが  とっても気に入ってるんだ



     だから なまえをつけた日の おもいを

     わすれないでいてくれたら すごくうれしい

     ときどき 思い出してくれるだけでも

     ボクたちは しあわせな気持ちに なれるんだ

       


        

         
   
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「ごはん大好き!」 ~ NEO ~



 
   ボクといつもあそんでくれる ママくんのともだちの家に

   フレンチブルのパピーが やってきた



   
こたる っていう名前を つけたんだって 

   といっても ボクたちは まだ会ったことはないんだ


   

   散歩できるようになったら いっしょに行こうって こたるくんママと


   ゆびきりげんまん 約束した ぜったいだよって



   


   こたるくんが 来るまえに


   こたるくんのうちには アンちゃんっていう コーギーの女の子がいたけど

 

   お空に 行ってしまったんだ


   

   それから こたるくんのママとパパは  お空にいった アンちゃんのことで

   すごくすごくすごく 悲しんでいた ・・・



   アンちゃんに してあげられなかったこと


   こんどは ちゃんと こたるくんに してあげたい と話していた 



   アンちゃんは きっと ママとパパが かなしんでばかりいるより


   そういう気持ちに なれたことを ホッとした顔でみているとボクは思う   


   



   ボクたちは いっしょに 暮らしているかぞくに


   おもっていることを コトバでつたえることは できないけれど



   目や手足やしっぽ ときには からだごとぜんぶで


   ウレシイ ウレシイしたり イタズラしたり とぼけたりして つたえる



   コトバはだいじだけれど コトバをもっていなくても


   つたえようとする つよい気持ちが だいじなんだと ボクたちは 知ったんだ 



  

   アンちゃんのことで 曇ったつめたい空みたいだった

   こたるくんママたちの気持ちに

   こたるくんの こころ洗われる寝顔と 元気すぎる いたずらっぷりで

   やわらかな光を なげかける日は すぐそこまで 来ている気がする


 




     
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「ごはん大好き!」 ~ NEO ~



   
     北風が ひゅうひゅう いっている中で ボクたちは

    いそぎ足で散歩したり 走ったり たくさん あそんで 家に帰った



    玄関のドアを 開けたとたん


    りんごの あまい匂いが シャワーのように ボクにふりそそいできた



    
ママくんは のんきに はな歌まじりで 着がえをしている 

    
ボクは 匂いのする場所の方に 向かった


    いつもは 食べるものは キッチンにおいてあるのに


    きょうは 洗濯機をおいてある場所に ちょこんと おいてあった



    そっかー ママくんは ボクをおどろかせようと してるんだ


    それなら ボクは 気づかないふり しておこう



    ボクとママくんは りんごの中で おうりんが いちばん好き


    胸がきゅ~んとした  ことし はじめての おうりん きゃっほ~



    紙の袋を ぐるぐる まいて ぴちっと閉じてあるけど
 

    そばかすポチポチの あいらしい おうりんが入っているのがわかる



    もうすぐ ママくんが こっちに来る前に ここを はなれていよう


    そして


    「おうりん いっしょに たべよっかー」 と いってきたら


    ボクは 目がまわるくらい うれしい うれしい を くりかえすんだ



    どうしよう  うまくできるかな ・・・


    だいじょうぶ! ふつうにしていれば ボクのしっぽは かってに


    うれしい を ずっとずっと くりかえすんだった






     
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「ごはん大好き!」 ~ NEO ~




       ボクが いつも こうして笑っていようと 思うのは

      笑っていると ともだちが 笑った顔を かえしてくれるから


      ボクが いつも すこしだけ つよがって みせるのは

      つよがっていると  ほんとうに つよくなってくる 気がするから


   
      もう がんばれない がんばりたくないと きみが おもったとき

      そこで 背中をまるめて さびしんぼしていたら


      いままで がんばってきたきみに しあわせを はこぶのはだれ?

      それは やっぱり 今のきみしかいない



      夕暮れどきの はっと 息をのむほど きれいな 茜色の空だって

      きみの心の中を ずっと しあわせで 満たしてあげるのは ムリなんだ



      だけど 今夜は 頭をからっぽにして ゆっくり眠ろう

      




     
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「ごはん大好き!」 ~ NEO ~



      林檎だけを食べるなら えらぶことのない 紅玉

      なぜって わたしには 酸味が 強すぎるから


      真っ赤な紅玉は アップルティーに とてもよく合うとおもう

   
      水を入れた鍋に りんごの皮と 薄切りのりんごの実を

      ざぶんと入れて 中火でコトコト  煮立ってくるのを 待つ

 
      お湯が ぶくぶく言いはじめ ほのかに色づいて

      甘酸っぱい 豊かな香りが キッチンに広がっていく


      このお湯を使って 紅茶を淹れる

      いつもより ほんの少し長めに 茶葉を蒸らしてから カップに注ぐ


   
      気分転換したいとき アップルティーは 温かくて やさしくて 強い味方


   
      気分転換したい理由 ・・・ 久しぶりの歯医者さん通い

      小さいころから 歯医者さんは大の苦手

      今度は 何度も何度もお世話になっていた 歯医者さんじゃなくて

      新しい 歯医者さん  ドキドキ・・・ 


      あったかーい紅茶を 飲んで  さぁ がんばろう



      あれっ  NEOくん きみは 歯医者さん 行かないよね

      なのに りんごのおかわりを もらうまで そこで きちんとおすわり?


      うん、いいよ いいよ りんごのおかわり あげるから

      もう しばらく 「ひとりお茶会」のじゃま しないでいてね 







     
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「ごはん大好き!」 ~ NEO ~





         おとといの午後 ラブちゃんの オカサンに会った

         にこにこ やさしい笑顔で ボクに近づいてきて


         「 いっぱい かわいがって もらうんだよ

         いっぱい 散歩 つれてって もらうんだよ

         いなくなったら もう したくても なんにもできないから 」

         そう 言いながら ボクの背中を ナデナデ ナデナデ してくれた


         5月の連休明けの 朝に

         ラブちゃんが 虹の橋へ いっちゃったこと

         風のうわさで 聞いていたけど


         ラブちゃんの オカサンから

         聞いたのは はじめてだった



         あれから 5ヶ月の月日が流れて

         すこしづつ こころの中の ラブちゃんを

         だれかに話しても  だいじょうぶに なったんだね

         だって もう 雪解けのころの陽ざしみたいに  いい笑顔だったもん



         ときどき道で会っても

         ちょっと あいさつするだけだった 5月からの日々


         ラブちゃんと しばらくは会えなくなったことは ・・・
         

         ものすごく たまらなく  なにもかも いやになるくらい

         悲しいけど ・・・

         ラブちゃん 信じられないくらい かんばったからね


         
         ラブちゃんのオカサンが 元気になったのを

         いちばん よろこんでいるのは 空から見ている ラブちゃんだよね  






 ** このお話は2010年 7月14日 「夏の空、となりのラブ」  と
             2010年11月18日 「紅葉の木々、となりのラブ」 の続きです **




  
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「ごはん大好き!」 ~ NEO ~




        キッチンから ほわほわした いいにおい がする 
              
        
こころの中で ボクは ガッツポーズをとった

        おいもの ゆげが ボクの鼻をくすぐる

        これは たまらない



        「おやつを もらうときになると

        つぶらなパピコの目になって  きみじゃないみたいに

        なるんだから」 と 笑われちゃうけど

        それは しかたない ことなんだ



        ボクは いつもの ボクなんだけど

        早く ほしいな  ちょっとでも 多くほしいな

        うれしいな うれしいな  きゃっほー!

        って おもうと 勝手に ボクの顔が かわっちゃう






   
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 **** あそびにきてくれて ありがとう ****










「ごはん大好き!」 ~ NEO ~





  ぴたりとくっついて 片ときも 離れなかった 昨日のきみが

  うそのようだね


  
  わたしが椅子に座っていると 足元に ぺたりと座り

  床で ストレッチをはじめたら 伸ばした膝の上でフセをするし


  トイレまでついて来て ドアの前で待っていたり

  お湯を沸かそうと ほんのちょっと キッチンに立っても 待ち伏せして


  家の中にいて 音は聞こえないのに 雨風が強くなった気配を感じて オロオロ

  停電になった夕方にはもう オロオロなんてもんじゃ なかったね


  きみは 基本 ビビリだし 確かに大型の台風だし
 
  気の毒になって  床に座って きみの好きな ナデナデをしていたら

  いつのまにか 眠ってしまった


  台風が本格的になる前から そんなに こわかったんだね



  
  そんなこんなの 昨日の大型台風が 過ぎ去って・・・

  きみは 朝から うつ伏せになったり あお向けになったり

  とにかく よく寝るね

  昨日 緊張した分のエネルギーを 取り戻そうと してるんだろうけれど

  どこか体調でもわるいの? って 心配しそうなくらいだよ


  その寝ている姿  それくらいの ふてぶてしさにも似た落ち着きを

  昨日のきみにも 発揮してほしかったわ


  わたしの心の声が 届いたのか 一瞬 顔をあげて

  こちらを ちらりと けだるそうな目で見た



  「 昨日は こわくて こわくて こわくて たまらなかったんだよ

    もう何年も いっしょに暮してるんだから いいかげん ボクのきもち さっしてください 」


  と 訴えているような きみの視線



  その目を また ゆっくり閉じて きみは まったり眠りについて

  夕方のごはんの 定刻になるまで ぐっすりだった


  今日も 昨日も 考えてみれば まったく きみらしい 1日だったね

  あしたも きみはきみらしく 過ごすんだろうね 


  こんなふうに今 凡庸な毎日を過ごして いられることに 

  感謝する気持ち  忘れないように しようね 


   



   
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         ときどき 部屋の隅とか壁とかの ある一点を

       じーっと 目をこらして 見ていることがある NEO



       つい  どうしたの?  何か見えるの?


       と 訊いてしまう



       ん? べつに  という表情を向けておいて


       気になるのか また 同じところを 見ていたりする




       外では ほんのときどきだけど 


       なにかを じーっと 見ていることが やっぱり ある




       いったい なにを見て いるのだろう


       ただ ぼんやり視線を向けているのとは 違う



       しっかり なにかを 見ている

      
       その先には なにが だれが どんなことが あるの?



       小さなころには もしかしたら


       わたしにも 見えていたのかもしれない と ふと思う



       心の中のホコリを払って くもりもキュッキュッと 磨いて

       今日は むかし むかーしの自分に 会いにいってみよう


     
   




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