映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね -25ページ目

映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画のネタバレ・あらすじ・キャストを最終回までや日本、韓国、中国、米国の映画・ドラマから面白いものを選んでネタバレ・あらすじ・感想を書いています。 

洋画のご紹介です。

映画 Re:デッド ネタバレ・あらすじ・感想



映画 Re:デッド 概要



2018年公開のイタリア映画。
監督:マルコ・ロッソン
脚本:ニコラ・ピッツィ
主演:マルゲリータ・レモッティ
ジャンル:タイムループ/ホラー

映画 Re:デッド ネタバレ・あらすじ



Re:デッド ネタバレ1《起》

大学教授のエマ(マルゲリータ・レモッティ)は、中世期頃、カルト宗教の儀式のために犠牲になった女性たちについての研究をしていた。
今回、目指していたのは、昔、魔女が処刑されたと言い伝えられている遺跡。

飛行機と列車を乗り継ぐ長旅のせいか夢見が悪く、目的地に辿り着く直前の列車の中でも、
どこかの林の中で、白いドレスを血で染めた女性が、何者かに追われ、首を絞められて殺される夢を見ていた。
夢から醒めた時、列車はちょうど目的地であるボゲーラの駅に到着する寸前であった。

駅で下車して外へ出ると、ガイドのジュリアから携帯へ電話が入った。
彼女の指示に従い駐車場で迎えを待つ。
閑寂として人の気配のない場所であったが、何気なく座ったベンチの前のアスファルトの上に目を落とすと、
中央に点のある赤丸の印が目に入った。
それが何を意味しているのかは、さっぱりわからない。

やがて、ジュリアが現れた。
とてもフレンドリーな雰囲気の彼女の車に乗って、宿泊予定のホテルまで送ってもらう。
車の中でジュリアは家族が作ったというワインをくれて、それを飲んでから寝たエマは、再び悪夢の続きを見て、
目が醒めて時計を見ると、時刻は朝の4時ジャストだった。


Re:デッド ネタバレ2《承》
シャワーを浴びて何事もなく夜明けを迎え、出発の時間となり、ジュリアが部屋まで迎えに来た。
もう一人、クロアチアから来たツアー客のダニエルという男性も加わり、
ジュリアの車に乗り込んで、3人で遺跡を見に行く事となった。

車の中でダニエルはよく喋った。
ダニエル>「なぜ魔女に興味があるんだ?君も魔女か?」
エマ>「大学で女性学を教えているの。」
ダニエル>「インテリの魔女だな。」
エマ>「カルトの犠牲になった女性について執筆中よ。毎週、日曜日にいけにえの儀式がある。」
エマは冷やかし半分のようなダニエルの軽口にムカつきながら、ダニエルの目的を尋ね返した。
すると彼は「報道記者だ。」と答え、遺跡で学生が殺された事件を取材するのだと言う。

それから車内ではダニエルがこの近くにある呪われた川の伝説をジュリアに聞いていた。

以下がジュリアが語った魔女伝説の話。

シャンダは美しい農夫で、農場を大切にしていた。
1520年頃、体内で出血した後、死に至るという症状の原因不明の伝染病が流行し、
近くの修道院を臨時の救護所にし、感染者を隔離した。
シャンダは善意から、そこへ出入りし、看病を手伝い、
患者に農場で採れた薬草を与えたりしていた。
だが、薬草は効かず、修道士や周辺地域の人々が感染して、結果的に大勢の人々が亡くなった。

伝染病の原因は元より不明であった筈なのに、
いつの間にか「シャンダが魔女であり、あの薬草が怪しい。それが病の原因ではないか?」という噂が広まった。
そして、その報いとして、シャンダは小川で修道士たちの手によって溺死させられるだろうと、人々は囁き合ったと言う。

エマは「ジュリアの話は、ちょっと違う。」と異議を唱えたが…どう違うのかを説明する暇もなく、
車はトラブルを起こして道の真ん中で停車してしまう。
ジュリアが先に車を降りて、車の下裏側を覗きこんでいた。
何のトラブルだかわからないが、外に出て手を貸そうと、ダニエルとエマも車を降りた。
ジュリアは「オイル漏れよ。」と言ったが…エマが振り返ると、
奇妙なお面を被って修道士のような服を着た二人の人がこちらへと歩み寄って来ていた。
ダニエルとエマはその2人組にいきなり殴られて、気を失ってしまう。


Re:デッド ネタバレ3《転》
エマが意識を取り戻すと、小川の傍で、後ろ手にして木の根本に縛り付けられていた。
ダニエルも、少し離れた木の根元に同じように縛られていた。
そこへ、あのお面を被ったうちの1人が来て、ダニエルの内蔵を抉り出していた。
その贓物を持って、男はエマの所へ来ると、無理やりエマの口にその贓物を押しつけて、
次にナイフを取り出してエマの喉元を深く切り裂いた。
それから「ホモ・ホミニー・ルプス」と唱えた。

確実にエマは死んだと思ったが、気が付くと、そこは、まだホテルの部屋の中で時間は朝の4時ジャスト。
だとすると、あれは悪夢だったのだろうか?とエマは思った。
だが、あまりにもリアルだったので、あれが夢であった事に半信半疑だったが、おそらくジュリアにもらったワインのせいだと考える事にした。
そして、エマは、この部屋に来て2度目に思えるシャワーを浴びた。

やがて、出発の時間になるとジュリアは夢と全く同じ様子で同じ言葉を発しドアの向こうに現れた。
多少の違和感を感じながら、エマはジュリアと一緒に夢と同じように、ホテルの外へ出た。
しかし、違和感はその後、増幅してゆく事になる。
エマが発する言葉だけではなく、同乗者がもう一人いて、その人がダニエルという名前で、
後から降りてきたダニエルの容姿も様子も夢の中とまるで同じだったからだ。

もはやこれは予知夢だと思うエマは、車中で繰り返される、夢の中と全く同じ会話に、とてもじゃないが答える気になれず無言でいた。
だが、こうも同じだと、ダニエルと自分が殺されるこの先の展開も同じという事になるので生きたここちがしない。
「この後の出来事を、どうにか避けなければならない。」とエマは心の中で思う。
エマが押し黙っていたので、夢の中では、エマがダニエルにした質問をジュリアがダニエルにしている。
しかし、ダニエルが、夢の中と同じ話を繰り返しそうになったところで、
エマは「話題を変えてくれる!」とキツイ口調で口を挟んだ。
それで、その後は音楽を流して聞くという展開になった。
しかし…夢の中と同じ景色が流れ、夢の中と同じ見覚えのある道で、また例のオイル漏れトラブルが繰り返される。
ダニエルが、夢と同じように車を降りようとしたのでエマは必死に「ここにいて!」と止めるが、
その制止の意味がわかっていないダニエルは平気で降りてしまう。

また、あの2人組が近づくのが見えて、ダニエルとジュリアを呼び戻そうとするのだが、
間に合わずに、夢と同じく、ダニエルは殴り倒され、仕方なく、エマは車から降りると一目散に逃げ出した。
小川の傍まで来ると、なぜか力が抜けて、木の根元にへたり込んでしまい、2人組に追いつかれて、棒で殴られて気絶してしまう。
次に気が付くと、夢の中と全く同じで、ダニエルと自分の2人が、後ろ手にして木の根本に縛り付けられていた。
だが、夢とは、少し違う部分もあった。
それはダニエルではなく、自分が先に殺された事だ。
死にゆくと思った時に男は「ホモ・ホミニー・ルプス」と呟いた。

Re:デッド ネタバレ4《結》
だが…またしてもホテルの部屋で目覚める。時刻はやはり朝の4時ジャスト。
これは、まるでタイムループのような悪夢だ。
研究テーマの事が頭から離れないからか?それともワインのせいなのか?
このままでは、ストレスによって自分が壊れてしまいそうな恐怖を感じて、エマは遺跡へ行くのをやめるという決断をし、
出発時間になってジュリアが迎えに来ても「体調が悪いから私は行かない。」と伝えて、部屋に引きこもって過ごした。
一方、ジュリアはダニエルと2人で遺跡へと出かける。

部屋の中で飲み食いしたり、書き物をして平穏に過ごし、それから少し寝て、もう時間は午後を回っていたので、
少し安心した矢先に、あの仮面の男が部屋に忍び込んで来て、エマは腹部を刺されて倒れる。
「ホモ・ホミニー・ルプス」また男が、あの呪文のような言葉を唱える声を聞きながら絶命した。…筈だったが…またしても目覚める。
時刻は朝の4時ちょうど。
流石に、これは悪夢ではなくてタイムループだと気付くエマ。
例によって例のごとく、出発時間に迎えに来たジュリアを遠ざけて、部屋の中でじっくり、どうしたらこのループから抜け出せるのかと考えを巡らせる。
その結果一計を案じて、逆に仮面の男を刺し殺してみた。
だが、もう一人の男に首を絞められて殺されて、また同じ繰り返しである。

繰り返しの中で、ホテルから逃走しようとしてみたり、自殺してみたり、
朝、様子がおかしいので、エマの部屋に入って来たジュリアを殺害してみたりもしたが、状況が変わる事はなかった。
ジュリアを殺した時は、なぜかエマ自身が「ホモ・ホミニー・ルプス」と彼女の死顔を見ながら唱えた。

明け方に、誰もいないバーで、誰かの車の鍵を見つけて、車で脱出をはかった事もあったが、遠くまで車を走らせて、
もう大丈夫だろうと思い、煙草休憩で、車を降りた時に、男がどこからともなく現れて殺された。

どこにも抜け道がないようにも思われたが、ループの前後に、エマが何度となく見る血塗れのシャンダらしき女性が、ヒントをくれた。
「ダニエルが答えを知っている。」と…。
そこでエマはダニエルが持っている情報をネットで調べる。
するとダニエルはネット上に自分の動画をUPして、今、まさに取材中の、この近辺で起きている連続殺人の件をペラペラと喋っていた。
その中で、ダニエルがこれら一連の殺人事件を関連付ける印として、紹介していたのが、あの中央の点を赤丸で囲んだ印であった。
ダニエルは「この印は中世のイタリアとフランスの南西部にルーツを持つあるカルトの用いている印である。」と話していた。
そして、彼の解釈では「この印が罠であり、見た者を死のループに陥れる。」と言うのだ。
「いけにえにされた者は地獄のような死を何度も味合わなければならず、死のループを終わらせるためには、この同じ印を3つ見つけなければならない。」とも。
ダニエルの調べは細部に至るまで、エマが目にして来たものと一致していた。

それゆえエマは、ダニエルの部屋を訪ねて、自分がまさに今、その罠に落とされている状況を打ち明けて、
彼の協力を仰ぎ、死のループから抜け出そうとする。
「ホモ・ホミニー・ルプス」の意味はラテン語で「人は他人を餌食にする狼。」だとダニエルは言った。
そして残念ながら、カルトの仲間にならない限りは、生きて死のループを脱する方法はなく、
印を3つ見つけた後に、カルトの信仰に自ら身を捧げる事でしかループは終わらないと知ったエマ。
「どうせ死ぬなら最後に生きている実感が欲しい。」と、エマは自ら服を脱ぎ、ダニエルに抱いてもらった。
この日は、その後、午後を迎えるまで、仮面の男らは現れなかったが、結局、ダニエルの部屋にやつらが向かって来る予兆があり、
ダニエルが荷物から出した護身用のピストルをエマは手に取り、自分の頭を撃ち抜き自殺して、もう1度4時に目覚める。

ダニエルを巻き添えにしまいと、一人で車を出して小川の傍に行くエマ。
一人でカルトに戦いを挑み、相討ちになっても彼らの儀式を止めさせる覚悟で出てきた。
シャンダの亡霊が守護神のように付き添っている。

暫くしてカルト3人組が、エマの前に現れて自分たちの正当性を訴えてから、エマを仲間に誘った。
(ここで、なぜ2人組ではなく、3人組となっているかは、よく考えてみてね。)
しかし、エマが断ると、今度こそ確実にエマの命を亡きものにした。
だが…死して尚、カルトに逆らい続けるシャンダの魔力を借りて蘇りしエマの肉体が、3人を殺し返した。
しかも、最後の一人は、はらわたを掴みだすという最も残忍な方法で。


その翌々日、ジュリアの惨殺死体が小川の傍で発見されて、刑事が、ツアー客の一人であったダニエルを訪ねて来る。

ジュリアの死によりツアーに行けなかったダニエルであるが、
刑事の話を聞いて、その夜、事件現場へと一人で出掛ける。
そこでカルトの儀式後らしき場所を見たダニエルは、
その周辺で、自分へ宛てて残されたエマの、遺言のようなボイスレコーダーを発見して
「これはスクープかも!」と言って喜ぶ。



映画 Re:デッド 感想



魔法とか呪いが出て来るので、ジャンルはホラーというよりもダークファンタジーに近いのではないか?という気もするが…スプラッターシーンや残虐なシーンが多い面から見ればホラーですね。
ジャンルをSFホラーに分類している人もいるようですが、サイエンスとは全く無関係です。
洋画って、昔の魔女裁判に題材を求めた作品が、かなりの数あるようですが、
この作品の場合は、歴史的な魔女裁判とは、かなりの別物で、
修道士と魔女の全面対決が、過去から現在まで脈々と受け継がれているのが前提となってます。
それで、修道士らが終結したグループとやらが、いつの間にかカルト宗教に形を変えて、魔女と目ぼしをつけた女性を呼び寄せて、
次から次に生贄にしていたとの事です。

一応、凄く設定やストーリー展開を一生懸命に考えて話を築き上げたかのようですが、
カルト宗教とか言う割には、現場で生贄活動してるのは常に総勢2名ですし(最後は3名だったけど。)
「どんだけ小規模なカルト集団やねん!」と、つっこみたくなったわ。
他にも、
エマが車の鍵を盗んで、ホテルから逃走した時とかも
「なんで、そんなとこで気ぃ抜いて、車から降りて煙草休憩なんかするかな?」と不自然な部分も多々ありましたわ~ww

後、ダニエルが、経験もせず、カルトと直接に接触も無しに、
なぜあそこまで、死のループの事や、死のループの解除方法まで詳しく知ってるのかが不思議。
通常こういった謎解きのある話のチャレンジャーは、文献を読み漁る事だけで、その謎を解き明かしたりする事は、なかなか、ないでしょう。
ましてや、このカルト教団の場合「死のループ」という大技な呪いは、
教団の極秘事項と思われ、迂闊に書籍や文献に、直接、答えを書いたりしないもんでしょうが?!
そうなると、あんなに、あっさりと外部の者に秘密を解き明かされるのは有り得ない。
ちょっと、その辺りの脚本の練り方が甘いと思いますよ~。


CR悪代官並みに悪が勝ち善人や弱者が負ける!勧悪懲善な映画 まとめ

最終回で悪が勝ち正義が破れるドラマはコチラ

CR悪代官の赤鬼モードってなんか凄いですよね?
悪はどこかで綻びが出るのが常とされていますが、はたして現実は本当にそうなのか?
というわけで、今回は、悪が弱者や善人を押し退けてのさばる勧悪懲善な映画をまとめてみました。


勧悪懲善な映画その1『マッチポイント』
運が悪人に味方する。…そんな事も多々ある世の中で、これは氷山の一角に過ぎないのかもしれない。

勧悪懲善な映画その2『隣人は静かに笑う』
無罪の善人が凶悪犯に仕立て上げられてゆく恐怖を描く。

勧悪懲善な映画その3『ナイトクローラー』
スクープ映像を提供して売り込む会社を起業。
「殺害映像がないのなら作ってしまえ!!」という神をも恐れぬ過激ぶりで急成長。


こっちのソフトバンクの悪代官のCMも面白いなぁ~。


洋画のご紹介です。

映画 ナイトクローラー ネタバレ・あらすじ・感想



映画 ナイトクローラー 概要



2014年公開のアメリカ映画。
監督:ダン・ギルロイ
脚本:ダン・ギルロイ
主演:ジェイク・ジレンホール
ジャンル:犯罪スリラー

映画 ナイトクローラー ネタバレ・あらすじ



工事現場からフェンスを盗んでは売って生計を立てていた倫理観の欠如した男、ルイス・ブルームは、
ある日、自動車事故の現場を撮影するフリーランスのカメラマンを見て「自分もやれる!」と思う。

そこで、盗んだ自転車を、ビデオカメラ&警察無線受信機と交換し、車強盗の襲撃後の現場を撮影し、とあるテレビ局へ売り込む。
その局でニュース番組を監修しているニーナがその映像を高額で買い取ってくれた事から、自信がつき、
フリーとしてこの業界で成り上がって行こうと決意するのだった。

ニーナはルイスに「もっといい機材を買いなさい。」とか
「高く買えるのは、スラムでよくあるような事故や事件ではない。視聴者が求めている富裕層が住む郊外の高級住宅街での暴行や殺人事件なら高く買う。」
などのアドバイスを与える。
ルイスは高額買い取りやアドバイスに喜んで、ニーナのテレビ局に優先的に映像を売る約束をする。
そして彼女のアドバイスに添って、狙い目を高級住宅街に定め、
助手も一人雇い入れ本格的に、この仕事を始めるのだった。

しかし、雇った若い男リックが、態度が大きい割には、あまり使えない事もあって、特ダネを撮り逃がした事もあった。
リックは、この仕事をクビになると、何処にも就職のアテがないような技能もコネもない男だったが、
ルイスは辛抱強く彼を雇い続けた。
(リックがこの業界の相場を知らないので安い賃金で雇えるというメリットもあったからとは考えられる。)

やがてライバルを出し抜き、より刺激的な映像を撮るため、ルイスは手段を選ばない方法ばかりをとるようになり、
その結果、他の者にはけっして撮影出来ないような大スクープが撮れるのであった。
大スクープであるゆえ当然、報酬も一段と弾んでもらえた。

味をしめたルイスは、誰よりも先んじて衝撃的な映像を撮るために
「事件が起こってから、現場へ直行する。」という従来のやり方をやめて
「以前の事件の犯人らを知っていながら警察に話さずに泳がせて、奴らが事件を起こすだろうと想定出来る場所で待機して被害者が出るのを待つ。」という、
自分たちさえも危険な、イカれて極悪な手段に出るのだった。


映画 ナイトクローラー 感想



主人公のジェイク・ジレンホールのギョロ目が印象的である。
人の死を自分の生活の糧にする事に何の躊躇いもないのは、スクープカメラマンというのが元々、そういう仕事だからとも言えるけど、
それにしたって、彼の場合はやり過ぎ。

そもそも、こういう仕事って、むごい人の怪我や死を目の当たりにするのだから、自分からやりたがる人ってそんなに多くはないのではと思える。
でも、それは、よく考えてみれば、
仕事を選ぶ事が出来るある程度、健康で文化的な最低限度の生活が送れている人間の考えなのかもしれない。

だが、もし、仕事にあぶれて、盗みをして、どうにか食いつないでいるならば、どうだろう?
仕事の内容云々より、実入りが良いという事が重要になってくる。
そこまでは、理解出来るが、この映画の主人公の場合は、たいへんな野心家で、そこそこのイイ暮らしが出来るくらいの実入りでは満足せず
「自分の出世と儲けのために、人の命がどうなろうと知ったこっちぁあないわ~!」という人なので、サイコパスかもしれない。

洋画のご紹介です。

映画 マッチポイント ネタバレ・あらすじ・感想



映画 マッチポイント 概要



2005年公開のイギリス映画。
監督: ウディ・アレン
脚本: ウディ・アレン
主演:ジョナサン・リース=マイヤーズ
ジャンル:サスペンス
上映時間:124分

『マッチポイント』(Match Point)は、ウディ・アレン36本目の監督作、また本人が出演していない10本目の作品。

映画 マッチポイント ネタバレ・あらすじ



イギリスはロンドン。
元プロテニス・プレイヤーのクリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は選手生活に見切りをつけて新たなる人生を模索し始めた。
そんな頃に知り合ったのが富豪の息子トム・ヒューイット。
そしてやがて、クリスはトムの妹クロエに気に入られて、付き合うようになる。
だがその一方で、トムの別荘に招かれて見知ったトムの婚約者ノラ(スカーレット・ヨハンソン)の事が忘れられなかった。

クロエとは野心のために付き合い、ノラには愛欲に引きずられて溺れて行くクリス。

ノラがトムの婚約者であった頃は互いに浮気だったので秘密が保てた。
しかし、やがて、ノラはトムと別れて暫く姿を消した。
そして、その後、再びクリスの前に現れた。
その頃すでにクリスは上流階級の仲間入りをするためにクロエと結婚していた。
地味なクロエとは違い、セクシーで美しいノラは再びクリスの情欲をノンストップでかきたてた。
抑え切れない愛欲で、再び彼女と関係を持ち始めるたクリスだったが、
ノラの妊娠によって、2人の関係は単なる秘密の遊びでは済まなくなる。
ノラにクロエとは別れて、自分との関係に責任を持って欲しいと言われ、
愛欲と社会的野心の狭間で、激しく揺れ動くクリス。
ノラにクロエと別れると約束したものの、
クロエとトムの両親からは優秀な娘婿と期待されて豊かに満たされた上流生活の味を知ってしまった今、
すべてを捨て去ってノラと再出発するという決心がつかない。
そんな風だから、約束を果たすようにと何度ノラに詰め寄られても、グズグズとその日を引き延ばすばかりだった。
そうこうするうちに、今度はクロエが、待望の妊娠を果たし、喜びにわくヒューイット家。
そうなると、ますます離婚など言い出せるわけもなく…いや、もう離婚する気などスラスラない。
ところが、この頃になると、いつまで経っても、ちゃんとしてくれないクリスに業を煮やしたノラが
「このまま離婚を切り出さないのならば、クロエに何もかもぶちまける。」と言い出していた。

女も富も名誉も失いたくないクリスが、最終的に取った手段とは…。


映画 マッチポイント 感想



女遊びの落とし前を、キチンとつけられない卑怯な逆玉男の幸運を描いた勧悪懲善の胸糞の悪い話。

タイトルの「マッチポイント」は球技でその試合の勝敗が決まる最後の一点の事で、
この映画の主人公である悪人が、警察や周辺人物を欺き、犯罪を隠し通す決めてとなった出来事を表現している。

殺人の被害者ノラについては「浮気をする女も悪いから自業自得!」などと言ってしまうと身も蓋もない。
今時の民主主義社会で不倫ごときが殺されて当然の理由とはならないし、女だけが、
本来なら(不倫の)共犯者である男に罰せられる理由など、もっとないわ。

人生を勝負としてだけ無感情に見たら「ふむふむ、なるほど~そうだね。」となるんだろうけど、
常にいつもこんな風に、罪なき者が踏みつけられて、
悪人がイイ思いをするばかりの、神も仏もありゃしない世の中ならば、悲しいですね。

洋画のご紹介です。

映画 ひまわり ネタバレ・あらすじ・感想



映画 ひまわり 概要



1970年公開のイタリア・フランス・ソ連合作映画。
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
原作: チェーザレ・ザヴァッティーニ
主演:ソフィア・ローレン
ジャンル: ロマンス
上映時間:101分

映画 ひまわり ネタバレ・あらすじ


第二次世界大戦が終わって2年後。
ロシア戦線に出たきり戻らない夫を待ち続ける妻ジョヴァンナ(ソフィア・ローレン)。

彼女は夫の生存を信じ続けていた。
この日も訪ねて来た役所で、「生死はわからない。」と首を振る職員に
「夫は生きていますよね?!生きているとハッキリ言ってちょうだい!」と詰め寄る。
たいへん気丈な女性である。
諦めたり弱気になる事は、けしてない。
夫の母親には「彼は絶対に生きています。ロシアへ行ってでも、私が見つけて来ますから。」と言って励ます。


ナポリに住むジョヴァンナとアフリカ戦線行きを控えた兵士アントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)は海辺で出会い、
たちまち恋に落ちた。
アフリカへ行きたくないアントニオのために「結婚すれば、12日間の結婚休暇を貰えるし、その間に戦争も終わる。」とジョヴァンナが提案する。
アントニオは結婚を嫌がったが、休暇に釣られたのか?アフリカ行きがどうしても嫌だったのか?
結局、ジョヴァンナと教会の鐘を鳴らした。

アントニオの田舎で12日間の結婚休暇を満喫した2人だったが、更なる徴兵逃れをしようと、
ジョヴァンナ協力の下、今度は精神を病んだ芝居をするが、最終的には精神科の医師に芝居を見抜かれて、
ロシア戦線への出征が確定する。


戦地へと向かう列車が出る前の僅かな時間。
愛し合う2人は、離れがたく、固く抱き合い再会を誓った。


そして終戦から2年以上の歳月が流れたが、戦地から帰って来る兵士の中に、
未だアントニオを見つける事が出来ないジョヴァンナだった。
だが、そんなある日、ジョヴァンナは、ようやく同じ部隊にいたという男を見つけ出し話を聞く。
重い口を開いて男は語った。
ロシアの「ドン河」という所までは一緒だったが、そこで、アントニオは一歩も歩けなくなり、雪原の中へ置いて来たと。

ロシア兵に四方を囲まれながら、冷たい風が吹きすさぶ極寒の雪原を行くイタリア兵たち。
3分も立ち止まったりしようものなら氷り付いて動けなくなる。
行けども行けども雪と氷、飢えと顔を切り裂く風。
暖を求めて、ようやく辿り着いた山小屋は、先客で満員で、仕方なく再び雪原の中を歩み出す。
何人もの兵が動けなくなり倒れて行く。
どうにか助けてやりたいが我が身も危ない。
あの地獄は…行った者でないとわからないと男は話した。

「雪の上に置き去りにしたの?手を貸そうともせず見殺しに?酷い人たちね!」とジョヴァンナは男を責めた。
「だが事によると、誰かに救助されたかもしれない。」と言って男は去った。


ジョヴァンナはアントニオの写真を持ち、ロシアへ行った。
役所の男性が同行してくれて、彼が消息を絶ったというドン河のあたりに行った。
そこは一面のヒマワリ畑が出来ていて、その下には多くのイタリア兵と現地のロシア人らが眠っていると言う。
かつての痛ましい日々を拭い去るように、風に揺らめくひまわりの花たち。

また墓標の立っている一角もあったが、ジョヴァンナは、そういう場所へ行っても
「彼は、ここにはいない。」と言い切った。


それから、役所の男とも別れて、
たった一人、ウクライナの街を彷徨い彼の写真を見せて、知っている人を探した。
そんな中で立ち寄った、とある駅で見かけたイタリア人男性に声を掛けたジョヴァンナ。
当初その男はイタリア人である事さえも否定した。
しかし、ジョヴァンナが何度も「あなたはイタリア人よ。」と言うと、
やっとそれを認めて「だが今はロシア人だ。」と言いアントニオの写真を見て「知らない」と言って去った。
けれどジョヴァンナは、
アントニオもまた、あの男のように、イタリア人である事を伏せて、何処かに隠れ住んでいるかもしれないと希望を持った。

それからも尚、道行く人たちに、アントニオの写真を見せては探し続け、
とある村で、ようやく、彼の消息を掴んだものの、彼はもうこの地で他の女性と結婚し子供までいると知って、
心が砕けた。
アントニオの若い妻マーシャは、ジョヴァンナを夫が仕事から帰り着く駅に連れて行った。
マーシャは、雪原で凍り付いて死にかけていたアントニオを家まで運んで助けた命の恩人だったのだ。


やがて汽車が着き、労働者が次々と降り立つ中にアントニオの姿もあった。
何も知らない彼はマーシャを見つけると、いつものようにキスしようとしたが、
マーシャがそれを制止し、離れて立っていたジョヴァンナを振り返り指さして見せた。
驚き息を飲むアントニオ。
睨みつけるかのように立ち尽くすジョヴァンナ。
かつて愛し合った二人は、互いに駆け寄る事も出来ずに、数秒の間、互いを見つめ合った。

けれども、次の瞬間、
居たたまれない疎外感に襲われていたジョヴァンナは、逃げるように汽車に飛び乗る。
汽車の中で席に着くと、手で顔を覆い声を上げて泣き崩れるジョヴァンナ。
周囲のロシア人たちが不思議そうに彼女を見つめていた。
一方、アントニオは茫然として、遠のいていく汽車を見つめていた。

生きていると信じて、ようやく苦労の果て再会した愛しい人は、
自分の事など忘れて、若く美しい異国の女と新しい家庭を築いていたのだ。
激しく自尊心を傷つけられたジョヴァンナの心は愛から憎しみへと変わり、
ナポリへ帰ると、アントニオの写真を引き千切り、窓から投げ捨てた。

あの出来事から暫くして、アントニオとマーシャ夫妻は、元いた古い一戸建てから新築の高層マンションに引っ越すが、
新生活に心弾む日の筈なのにアントニオは終始、沈んだ顔をしていた。

ジョヴァンナを傷つけたのに、何も出来なかったあの日の突然の再会があまりに辛くて、彼もまた傷ついていた。
彼の様子にマーシャは、アントニオの心がジョヴァンナにある事を察し「もう私を愛してないの?」と泣いた。

それから1年余りの月日が流れた頃、アントニオはジョヴァンナに会いたさに、
故郷の母が病気であると嘘をついて、ナポリへと遥々帰郷する。
アントニオの本心を知ってか知らずか?マーシャは快く彼を送り出してくれた。

ところが、その頃ナポリでは、ジョヴァンナは既に再婚していた。
一時はアントニオを失い自殺も考えたが、
今は彼との幸せな日々も辛い再会も、過去の思い出に変える事が出来たと思っていた。

あいにくの嵐の夜に駅に到着し、そこから電話をくれたアントニオに「二度と会わないから、帰って!」と
1度はつれなくしてみたものの心の内は揺れていた。
2度目の電話は断れず、彼に家の住所を教えて、嵐による停電の中で、ようやく再会した2人。
アントニオは彼女に、こうなってしまった経緯を話すのであるが、
ジョヴァンナを目の前にすると、最早もう彼女の事しか考えられず「もう一度二人でやり直そう!」と言い出す。
ジョヴァンナは「そんな事はもう出来ない。無理よ。」と言って拒絶する。
その時、隣室から赤ん坊の泣き声がした。
ジョヴァンナもまた再婚相手との間に子供を授かっていたのだった。
それを知ったアントニオは、来る前にロシアで買い求めた毛皮の襟巻を手渡すと諦めてロシアへ帰る。
今度は駅で、ジョヴァンナがアントニオを見送る。

戦争が引き裂いた2人の愛と人生だった。
過ぎ行く列車を見送るジョヴァンナの瞳には、再びまた悲しみの涙が込み上げた。



映画 ひまわり 感想


この映画の哀愁は筆舌に尽くしがたく、一度観れば、深く心に残る名作なので、未見の方は是非一度、ご鑑賞下さい。
戦争の残忍さ、理不尽さ、上に立ち、国をつかさどる者たちの無責任さ、それに翻弄される人々の哀しみが胸に迫ります。

ジョヴァンナがアントニオの妻として過ごしたのは一ヶ月にも満たぬ短い日々だった事でしょうが、
言葉も通じない異国へと飛び、一心不乱に彼を探し彷徨う彼女の姿に、
時の長短には関係のない深い思慕の情が見て取れます。

そして…突然の喪失感。
「喪失感を知りたければ、この映画に見よ。」っていうくらいのものですよ。
しかし愛とは矛盾しているものですね。
「大切な人だから、生きてさえいてくれれば。」と強く願ったであろう心が一瞬のうちに転覆してしまう。
「死んでくれていた方がマシだった。」とさえ思えてしまう。
憎しみと背中合わせにあるのが愛なのでしょうか?
でも、死による喪失は、この喪失よりも、もっと耐え難い苦しみを伴う事を、心のどこかでジョヴァンナも本当はわかっている筈なのです。
だからこそ、持って行き場のない悲しみを爆発させて写真や彼の残した衣服に八つ当たりをしていたのだと感じました。
女の立場から、とても感情移入しやすい映画なのですが、
男性の目から見ても、アントニオの視点で考えれば
「俺だってそうなるよ。あんな綺麗な人に命を救われたら
好意を拒める男なんていない。」となるのかもしれませんね。
かと言って故郷に残してきた妻への愛を消し去ったわけではない。
どうにも板挟みのこの感じは男冥利につきるけど、実際に経験したとしたら、相当キツイものではないでしょうかしら?

人の世の喜怒哀楽とは無縁に、ただ無心に咲き誇る無数のひまわりの花々。
その無心さが、人の世の無常さに翻弄された人の目には羨ましく映るのだと思います。


ドラマ(日本)のご紹介です。

ドラマ 新しい王様 シーズン2 2話 動画~TBSと組んでるParaviって何?


ドラマ 新しい王様 シーズン2を無料で視よう


日本のドラマつまらないんで、けっこう長い間無視してたんですけど、
最近またちょっと目先の変わったもの出してきたようなんで目を留めてみました。で、今回はTBS×Paraviの『新しい王様』なんですけど、気付いた時はもうシーズン2が始まっちゃってて。

昔は連続ドラマの1話ごとに詳しいネタバレやあらすじを書いてたんですが、今や次の回へ行くまでの1週間もの間、見逃し配信を無料でしてんのに、ネタバレ記事なんてニーズなくなったんじゃないのかな?

そんなわけで、このドラマ『新しい王様』シーズン2も2話の無料動画配信をのっけときます♡

後、出演俳優、小関裕太さんのリブログもね。


で、TBSと共同でこのドラマ配信してるParaviとは何?


Paraviって、まぁ、わざわざ言わなくても多くの人が「知ってるよ!」って事なんだろうけど、ネットテレビサービスですね。
WOWOW他大手メディア通信関連会社6社の共同出資による新しいプラットフォームなんだね!
正式名はプレミアム・プラットフォーム・ジャパンって言うんだって。

面白いのは、このParaviのやってる事業自体が、この『新しい王様』というドラマの中で藤原竜也が語ってるネットとテレビの融合とモロ被ってるとこですよね?

テレビという媒体はネットに負けて、もう廃れて行くのかと思ってたんですけど、これからはネットに背負われる形で生き延びてゆくんですね。
頑張ってください!!

ドラマ 新しい王様 あらすじ


高度なビジネススキルを持ちながらも、「財力」や「所有」に対して距離を置き、新しい価値を見つけようとしている自由人のアキバ(藤原竜也)と、
金・物・女への欲望をストレートに追求するファンド会社代表の越中(香川照之)。
考え方の全然異なる2人であったが、越中がアキバを焚きつけて、日本の大企業や大手マスコミの買収を次々と仕掛けて勢力地図を塗り替える。
そんな中でのアキバと越中の虚々実々( 互いに策略や手段を尽くして戦うこと。)の駆け引きや、栄光と転落を描く。…てな話。

ドラマ 新しい王様 感想



藤原竜也が一人で語ってるシーンが多くて、テンポ悪いような気がした。
栄光と転落を描くというんなら、日本て1番底辺のとこから這い上がって行くみたいな、物語の冒頭にそういう工夫があった方がドラマに引き込まれると思う。
そのあたり、脚本に一工夫欲しいところ。

苦労知らずな顔をして淡々と語る主人公には、あんまり魅力を感じなかった。



洋画(SF映画)のご紹介です。

映画 プライマー ネタバレ不可能と言われた映画のあらすじ・結末

「わけがわからない!」と言う人続出の難解なSF映画。
ネタバレ不可能と言われているのは、自分も、どういう事かわかっていないのに、人に「これこれしかじか~」というネタバレの形で、伝えるのは無理という意味だと思う。
1度見るだけで理解できた人がいたなら、その人のIQの数値は人並み外れているのではないだろうか?
でも逆に言えば、この映画を観て、わけがわからなくても、ほとんどの人がそうだから「自分は頭が悪い」と悲観する事もないと思われる。
これを書いている私自身もよくわかっておらず「ネタバレ」と題して書くのもおこがましいので「あらすじ」とした。

映画 プライマー 概要



2005年公開のアメリカ映画。
監督:シェーン・カルース
脚本:シェーン・カルース
主演:シェーン・カルース(アーロン)&デヴィッド・サリヴァン(エイブ)
ジャンル:SFサスペンス
上映時間:77分

映画 プライマー あらすじ(結末までかなり詳しく)



大企業にエンジニアとして勤務する同僚の、アーロン(シェーン・カルース)、エイブ(デヴィッド・サリヴァン)、ロバート(ケイシー・グッデン)、フィリップの4人は、
勤務時間外に、アーロンの家のガレージを使いサイドビジネスに繋げるための研究を重ねていた。
その過程でエイブは、超伝導を使って物質の重量を軽減するテクノロジーの研究を考案した。
これが成功すれば大きな投資が見込めるだろう。
しかしロバートとフィリップは、現実離れしていると反対した。
そのためエイブとアーロンは2人だけでこの研究を続ける事にした。
しかし、更に研究を重ね、完全な性能を持つ製品として発売するためには資金が不足していた。
そこで彼らはスポンサーを見つけるためのパーティを計画する。

パーティを数日後に控えたある日、アーロンとエイブは、箱の中に入れた物質が、箱の外よりも10倍ほど早く成長している事に気付く。
この気付きを切っ掛けに、
箱の中に発生したワームホールによって、箱の中の時間の流れは箱の外の世界よりも早く、時間は高速逆回転を繰り返しながら進んでいて、
電源をONにしてから一定時間経過後にOFFにする事で、過去へ行けるタイムマシンが作れるという事実を発見する。

エイブは、郊外で貸倉庫をレンタルし、そこで密かに、人を入れるのに十分な大きさの試作機を完成させて過去に戻った後、
その事を公園でアーロンに公開する。
アーロンは今、目の前にいるエイブとはまた別のもう一人のエイブ(タイムトラベル直前のエイブ)が、離れた所を歩いて行くのを遠目に見て、信じざるおえない。

ロバートとフィリップに秘密にしたまま、アーロンとエイブは、予備のタイムマシンも作り《2人で過去へ行って株で一儲けしよう》という計画の準備を着々と勧める。

過去への行き方は、スイッチをOFFにする直前のタイミングで箱に入り、そのまま箱の中で6時間過ごすと、ONにした時点に戻り、そのタイミングで外へ出る…すると、箱に入った時よりも6時間過去の世界に出られるというもの。

2人は、過去で過ごす間は、過去の自分に遭遇しないためにホテルで籠りっきりになり外界との接触を断つというルールを厳守する事にした。
過去を改変しないために、このルールはくれぐれも守らなければいけない。

予定通り、午後には上がると知っている株を午前中に買い付けて大金を手に入れた。
そしてパーティではエイブのガールフレンド、レイチェルの父、グレンジャー氏(チップ・キャルース)に資金援助を打診しようと考えていた。
しかし事態はそれどころではなくなる。
このグレンジャー氏が、勝手に予備のタイムマシンを見つけて過去に来ていた事がわかったからだ。

それだけではない。
エイブとアーロンは、お互いにそれぞれが、相手に告げずに一人でタイムマシンを何度も繰り返し利用して、同じ時間を何度もループしていた事がわかる。
アーロンの耳からは血が流れる。
その上、両手指が痺れ字が書けなくなる。
これは彼が何度もタイムトラベルを繰り返した証拠だろう。
繰り返し行われたタイムトラベルのせいで徐々にアーロンとエイブの未来は矛盾を孕んで整合性を失ってゆく。

時間が過去から未来へと流れて行く世界の道筋が1本だけならば、過去に戻った時、過去の自分が、以前のその時と別の行動を取ったりはしない筈だが、
もし時間軸が、そのつど枝分かれしで分岐する多次元宇宙であったならば、
過去へのタイムトラベルを繰り返した数だけ、その先の未来の様子は変わって行く。
タイムトラベルの結果はどうやらこの後者の多次元宇宙だったようだ。

こうした事から、
タイムトラベルを継続するのは危険過ぎるとわかり、アーロンは、過去の自分がタイムトラベルするのを妨害するために縛り上げて監禁したりもした。
エイブは、アーロンにタイムマシンの事を教えた事を後悔した。
そこで、教えた事実自体をなかった事にしようと、非常用マシンで過去に戻ると、その過去にいた自分を部屋に閉じ込めて、すり替わり、
時間が最初の公園でアーロンに話した時点になるのを待って、タイムマシンの事を教えるのをやめようとしたが、会話がちぐはぐになり、失敗に終わる。

結局、エイブもアーロンも互いに相手には黙って独自に過去に戻るという事を繰り返していたがために、
過去だけでなく未来にも、エイブやアーロンが何人も存在するというハメになり、収拾がつかなくなってしまう。
互いに隠し事をしていたために2人の間にあった信頼は失われ、最新のアーロン(過去へのタイムトラベルを繰り返した果てのアーロン)は単身で海外へ出て行く。

最新のエイブは地元に留まり、古い方の自分自身やアーロンを監視しながら、隠れて生活を続ける。

[おわり]


映画 プライマー 感想



監督が元エンジニアとの事で、物理学的な小難しい言葉が多く出て来る。
理数系の人は楽しめるのかもしれないが、私のような文系の人間は正直、あまり面白くはなかった。
映画の肝であるタイムトラベルも、とっても地味で、
過去の自分との遭遇も、2人の自分同士が顔を突き合わせてるシーンがあるわけではないので、他のタイムトラベル系時間移動ものの作品にあるような痛快さや醍醐味を期待してはいけない。

ストーリー自体がややこしいのだから、時系列順にストーリー展開してくれればいいものを、時系列がバラバラの継ぎ接ぎで見せて来るので、あまりにも観客に対して挑戦的過ぎて腹の立つレベル。

何度も繰り返し見て、パズルのピースを拾い集めるように情報を拾い、時系列順に並び直して、やっと物語の全容が掴める(らしい。)
「らしい」と書いたのは、私はそれをやってないから。

同じく難解と言われた映画『メメント』の方が、まだずっとマシでしょう。



洋画のご紹介です。

映画 遊星からの物体X ファーストコンタクト ネタバレ・あらすじ・感想

映画 遊星からの物体X ファーストコンタクト 概要



2011年公開のアメリカ映画。
監督:マティス・ヴァン・ヘイニンゲン・ジュニア
脚本:エリック・ハイセラー
主演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド
ジャンル:SFホラー
上映時間:104分

1982年の映画『遊星からの物体X』の前日譚となる物語。
『遊星からの物体X』の監督は、ジョン・カーペンターであったが、
今回の作品を監督したのはマティス・ヴァン・ヘイニンゲン・ジュニア。
彼は、オランダのCMディレクターで、映画監督は初であった。

映画 遊星からの物体X ファーストコンタクト ネタバレ・あらすじ



古生物学者であるケイト・ロイドの元へ、友人のアダム・フィンチ(エリック・クリスチャン・オルセン)が、
サンダー・ハルヴァーソン博士(ウルリク・トムセン)を連れて訪ねて来た。

彼らは、彼女に
南極で発見された未確認飛行物体と墜落現場近くにあったエイリアンらしき生物を調査するために、
ノルウェーの調査チームに参加して欲しいと言うのだ。

推定10万年以上の昔に、円盤に乗って地球までやって来たと思われるエイリアンらしきそれは、
何らかのトラブルで、機体ごと南極の氷河へ墜落し、脱出しようとしたが間に合わず、
深い雪の中で氷漬けになっていた様子であった。


チームのメンバーたちは、氷ごと検体を切り出し、科学研究基地に持ち帰る。

サンダー・ハルヴァーソン博士は、この前代未聞の大発見に興奮しており、当然のごとく「組織サンプルを採取する。」と言うが、
地球外の未知の組織とあって、いきなりのサンプル採取にケイトは異議を唱えた。
だが博士は、ケイトの意見を憤慨して却下し「今後は二度と私に逆らうな!」と威圧した。
その後、サンプル採取が実施されたが、
サンプル採取と言っても、初日なので、氷にドリルで穴を空け、爪先の組織を僅かにピンセットで摘み取っただけで残りは明日以降の後日に回そうという事で、
その夜、チームメンバーらは、娯楽室で酒を酌み交わし、ウクレレの演奏に合わせて、歌い、弾けていた。
実に呑気なものだった。

しかし、そんな彼らのお気楽さも、その夜が最後となった。
夜遅くに、メンバーの一人が氷漬けのエイリアンを見に行った時である。
その化け物は一瞬のうちに氷と、その上の天井までをも突き破り、何処かへと姿をくらましてしまったのだ。

犬が食い殺されたのを皮切りに、彼らは次々にエイリアンに襲われ捕食されて行く。
そればかりか、やがて事態は更に複雑で収拾不能な恐ろしい状況へと拗れて行くのであった。

と言うのも、エイリアンは捕食した生き物そっくりに擬態出来て、さも本人のごとく振る舞い、
彼らを騙し討ちのように襲い、自らの細胞に取り込み繁殖しようと計画している事がわかったからだ。

生き残ったメンバーらはお互いに疑心暗鬼となり、警戒し合いながらも、
エイリアンの完全退治と自らの生き残りを賭けた凄まじいサバイバルが始まるのだった。
エイリアンを完全に退治するには火炎放射器で焼き尽くすしかない。
もしヤツに一度襲われれば、ほんの僅かの切り傷であったとしても100%身体を乗っ取られてしまう。
不安は尽きる事なく、一寸先は闇で、いつ地獄絵図のような、おぞましい光景が展開するかわからない…そんな緊張の中で彼らは戦い続けた。


やがてケイトは、エイリアンが、有機組織を取り込み模倣する事は出来ても、
金属だけは変容する事が出来ないという弱点に気付く。
もし、歯の中に金属を使った治療痕があれば、その人は人間であるとわかるので、一人ずつ口を開けてもらいそれを確認する。
しかし、それとて、歯の健康な人やセラミックで治療した人であれば、見当たらないケースもあるので、
完全にエイリアンと人間を区別する決定打にはならないのだ。

そして、そうこうするうちにも、新たな犠牲者が増え…いくつもの惨劇の果てに、ラスト近くには生存者は僅か4名となっていた。
そのうち、ケイトと、人間に化けたエイリアンを乗せたがために墜落したヘリから生還した操縦士サム・カーターの2人は、行動を共にしていた。
彼らが宇宙船の中で、おそらく最後の一匹と思われたエイリアンとの格闘に勝利した後の事である。
雪上車に乗り込んでソ連の基地へと避難しようとした直前、ケイトはカーターの左耳にあった筈のピアスがない事に気付く。
ピアスがない事をケイトに指摘されて、カーターは咄嗟に自分の右耳を触った。
その動作こそが、彼が人間ではない証明に他ならないと思いケイトは容赦なくカーターを火炎放射器で焼き殺した。
その後のケイトがどうなったかは、わからない。

また、英語を話せないノルウェー人のラーシュは、給油の為ノルウェー基地を離れていたヘリが焼けただれた基地へ戻って来ると、
そのパイロットと共にヘリに乗って、ヘリの上から自分の犬に成りすましているエイリアンを狙い撃ちする。
犬(実はエイリアン)は雪上をひたすら走って逃げて行く。

[終わり]

このラストが先の映画『遊星からの物体X』の冒頭のシーンへと繋がります。
↓↓『遊星からの物体X』冒頭のシーン↓
アメリカの基地へと逃げ延びた犬(実はエイリアン)。
犬(実はエイリアン)を追って基地の前にヘリを着陸させて、尚も犬を撃ち殺そうとするラーシュだった。


映画 遊星からの物体X ファーストコンタクト 感想


すっごい怖かったですよ~!!
化け物の形状は映画『エイリアン』のそれにも似てるように感じるけど映画『エイリアン』の方が作られたのは先なんですね。

宇宙船の中で化け物と闘うのと南極で闘うのと、どっちがマシ?って考えてみたけど、どっちもどっちかな?
どっちが強いかっていうと、そりゃあ映画『エイリアン』の方だと思う。
こっちの映画の化け物は火炎放射器があれば、完全殺処分出来るので。
ただ仲間の人間に化けられるのは困ったもんやし、疑心暗鬼になるのも無理はないと思うけど…それがわかった後の“人間だと確認後”は、全員でまとまって行動するようにしないとアカンのに、それ以降もバラバラに行動してたりしたのは何故なんだろう?

そして主人公のケイトの生死って永遠にわからないままってのは、とっても残念!!
時系列順だと、この続きにあたる前作の『遊星からの物体X』の中ではケイトの姿はどこにもなかったんで、どうしたのかな?と気になるところです。

韓国映画のご紹介です。

韓国映画 殺人の疑惑 ネタバレ・あらすじ・感想



映画  概要



2013年の韓国映画。
原題:BLOOD AND TIES(血とネクタイ)
監督:グク・ドンスク
脚本:グク・ドンスク
主演:ソン・イェジン
ジャンル:サスペンス
上映時間:95分

韓国映画 殺人の疑惑 ネタバレ・あらすじ



大学院を卒業し、新聞記者になろうと就職活動中の若い女性ダウン( ソン・イェジン )。
ダウンは、
男手一つで、愛情を注ぎ育ててくれた真面目で優しい父、スンマン( キム・ガプス)と二人暮らしでした。
父子家庭でも、ダウンがさほど寂しい思いをせずに成長してこられたのは、
ひとえに、幼少の頃より「俺の命」と呼んで、
精一杯に可愛がって養育してくれた父のお陰だと思ってきました。
貧しくても、温かい人柄で、働き者で、どんな雑用も黙ってコツコツとこなす父は、
ダウンの掛け替えのない家族で、自慢の父でした。

最近メディアでよく目にするある話題。
それは15年前に起こった残忍な「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」が、もうすぐ時効を迎えるという話題でした。
身代金目当ての誘拐事件で、
犯人に大金が受け渡された後で、誘拐された男の子の遺体が川から見つかったという卑劣な事件でした。
記者を志望しているダウンとしても、それは、とても気掛かりな未解決事件でした。

そんなある日、ダウンは友人のキム・ジェギュン(イ・ギュハン/警察官志望)とボラ( チョ・アン)と一緒に映画を見に行きます。
記者や警察官を志望している者ならば、見ておいた方が良いとされる例の「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」を追跡したドキュメンタリー映画です。

この映画の最後に、犯人の男が、両親へ身代金を要求するために掛けてきた電話の声が公開されます。
この声は、警察が殺人者の身元を知る唯一の手がかりとなっていました。

その声が、喋り方も含め、あまりにもダウンの父親の声に似ていた事から、内心ダウンは言い知れぬ不安に襲われます。
犯人の声の中に、ダウンの父がよく使う「最後まで絶対に諦めるな!」
というフレーズがあったので尚更です。
でもダウンはすぐに《そんな筈あるわけない!!》と思いなおします。
誰よりも優しく真面目な性格の父に、そんな事が出来るとは到底思えないからです。
しかし、犯人の声がダウンの父親に似てると思ったのは友達のボラも同じだったらしく、映画からの帰り道で、ボラにその事を言われて、
ダウンは気分を害して、2人から離れて、先に家へ帰って来てしまいました。

疑いたくなくても、その事が気になって仕方のないダウンは、ネットで「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」を検索して調べます。
すると…映画で公開されていたあの犯人の声がネット上でも公開されており
再び、その声を聞きます。
何度聞いても、父の声にそっくりなのですが、
自分の父に殺人の疑いを持った罪悪感もあり、すっかり元気を無くしてしまうのでした。

「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」の時効が成立するまで残り10日と迫っていました。
それゆえに警察は犯人の声を一般公開して、広く市民に心当たりの情報を募っていたのです。
映画を見て以来、ダウンはノイローゼ気味でした。
それでも、なんとか前向きになろうとして、ボラと仲直りし、ボラが自分の父親の浮気を疑った時にどんな行動を取ったかを聞き、それを参考に、帰ってから父の携帯、財布、PCをチェックしてみました。
すると、PCからエロ動画のファイルが見つかります。
事件とは何ら無関係なのですが、ちょうどダウンがそうれを発見した時に、風呂上りの父が遭遇し、気まずい雰囲気になると、父は「全く心当たりがないんだ。初めからパソコンに入っていたのかな?」と見え透いた嘘をつきました。
この事は、後でボラと「お父さんも男なんだから仕方ないわよ~」と笑い話にする程度の事でしたが…。

その後も、休日に釣り道具を持って出かける父を尾行したりもしましたが、
結局、父の他者に対する思い遣りある行動や誠実な仕事ぶりを、目にする事しか出来ませんでした。

しかしその数日後、父の過去を知る男シム( イム・ヒョンジュン )の出現により、ダウンの心はますます混乱の渦の中へ巻き込まれて行くのでした。
果たして、父は、本当に、恐ろしい殺人犯ではないのでしょうか?!

韓国映画 殺人の疑惑 感想


最後の方でわかるんだけど、これ、完全に「隠れサイコパス」の映画です。

普段は違和感なく社会の中に溶け込んで、ちゃんと、世の中のルールを守って生きて行けるから、周囲の人は、彼がサイコパスである事を全く気付かない。
ところが、彼の中で唯一、絶対的に大切なものである一人娘ダウン。
彼の頭の中ではすべてが、この娘への愛情中心に回って行き、
その他のものはすべてぶっ飛んでも、娘と自分の暮らしが守れればそれでいいという事になっている。
この彼の絶対的世界観の中では善悪の軸もズレていて、
この世界観の中で顕著に、人の気持ちや立場に立って考える事が出来ないというサイコパスの行動の特徴が出てしまっているんでしょう。

サイコパスっていうのは、脳の働き方の細かい部分で、普通の人と違うところがありますが、精神病というには微細な違いとされ「精神病質」と言われています。
「精神病質」と字ズラで見ると、なんか凄い大変な状況みたく感じますが、
大抵の人は、社会に溶け込んで問題なくやってゆけるそうです。
でも、たまたま、いくつかの必要条件が揃い、その人が本質の中に持つサイコ気質が、世に放たれてしまった最悪の場合には、殺人という事象に発展してしまう場合もあります。

サイコパスとサイコキラーについて、もう少し詳しくは【映画メモ】サイコキラーとシリアルキラーの違いの記事の冒頭で説明していますので、良かったら読んでみて下さい。

で、この映画の感想に話を戻しますが、
構成や演出など、とても良く出来た映画だとは思うのです。
しかしながら、イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件が、現実に韓国で起こった痛ましい未解決の誘拐殺人事件であると聞きますと、その事件を題材にして作られた映画を観て楽しむ事自体に、罪の意識を感じてしまいます。
(サイコパスでないならば、誰でもそうではないでしょうか?)

洋画のご紹介です。

映画 ブルージャスミン あらすじ・ネタバレ・感想



映画 ブルージャスミン 概要


2013年のアメリカ映画。
監督:ウディ・アレン
脚本:ウディ・アレン
主演:ケイト・ブランシェット
ジャンル:ペーソスコメディ
上映時間:98分

ブルージャスミンは花の名前ですが、この映画では主人公の名前でもあります。
青みがかった花の形がジャスミンの花に似ているのでブルージャスミンという名のついた花があるのですが、この映画の主人公ジャスミンが、悲しい気持ちに沈んでいる事と、この花の名をかけたようです。

映画 ブルージャスミン ネタバレ・あらすじ



お金持ちの夫ハル・フランシス(アレック・ボールドウィン)と結婚し、マンハッタンでソーシャライトに成りすまして優雅な暮らしを送っていたジャスミン(ケイト・ブランシェット)。
ハルには連れ子のダニーがいたが、ジャスミンはこの子とも打ち解けて家族3人、仲良く暮らしていた。

本当のジャスミンは施設で生まれ、同じ施設から同じ家に里子に出されて共に育ったジンジャーとは姉妹の間柄であった。
だが、社交界の花となったジャスミンがむろん、そんな自分の育ちについて周囲に語る事はなかった。

何不自由ない優雅で誇らしい日々を送っていたジャスミンであったが、ある日、突然に全財産を失い無一文になる。

事の発端は夫の浮気だった。
いや、浮気と言っても、最後のそれは、今まで、あちこちの女と度々繰り返された“火遊び”とは違い、
親子ほど年の離れた小娘にのぼせ上ったハルは
「今度ばかりは真剣なんだ。僕たちは愛し合っている。これからは彼女との未来のビジョンを考えてゆきたい。」とジャスミンに宣言したのだった。
この宣言により、
彼の女癖の悪さを薄々は勘づいていても、今まで、ずっと見て見ぬフリをして我慢して来たジャスミンの堪忍袋の緒が切れた。
どうせ捨てられるのなら…と破れかぶれな気持ちになったのかもしれない。
ジャスミンはすぐさまFBIに電話をして、これまでの夫の投資詐欺や不正行為のすべてを、洗いざらい通報してしまった。

表向きは有能な実業家であり、誠意あるソーシャライトとして、
地元の学校や福祉施設に多大な寄付をしてきたハルだったが、
その裏の顔は人を欺いては財産を奪い取ってを繰り返し、
巨万の富を築いたダークヒストリーの持ち主だったのだ。

陰の悪事が発覚し警察に逮捕されたハルは、収監されていた獄中で首を吊って自殺した。
その後、ハルの財産はすべて国に差し押さえられて、ジャスミンは、ほぼ無一文で、住む家すらも失い、
サンフランシスコに住む妹を頼って、なけなしのお金をはたきファーストクラスに乗ってやって来た。

もう身分もお金もないのだから、気持ちを切り替えて生き直さなければいけないのに、
ジャスミンは、これまでの上流ぶった暮らし方の癖から、なかなか脱却出来ないでいた。
それに…時々、過去の裕福だった頃や、悔しかった時のシーンが脳内で再生されてしまい誰もいない空間に向けてペラペラと独り言を喋ってしまう。
心のバランスを失って、そんな風に少しおかしくなっていた。

ジンジャーは、ジャスミンとは対照的な性格で、庶民的で明るく、男性の社会的地位に拘って品定めするような事もない。
根に持たない性分なので、過去に、元夫が、宝くじで当てた大切な20万ドルをハルに騙し取られてしまった事も「姉は知らなかったのよ。」と恨みに思っていない事から、今回も行くあてのないジャスミンを快く家へと迎え入れる。
ジャスミンとて、過去を水に流して自分を受け入れてくれたジンジャーに感謝して、それなりに気を遣いはしたが、付き合う男のダメ出しに関しては容赦なく、別れた前夫オーギーの事も、今の彼氏のチリの事も「ああいう、うだつが上がらない男はダメよ!」とボロカスに言うのであった。

これから先、どうするのかと問われて、ジャスミンは「大学へ行きたい。」とか「資格講座を受けてインテリアコーディネーターになる。」など、無一文で無職という現実から掛け離れた事ばかり言う。
それを聞いたジンジャーが呆れて「何をするにもお金が必要なのよ。」と言うと、それもそうかと、やっと理解して
「そんな誰にでも出来るようなつまらない仕事はやりたくないわ。」と拒否していた歯医者の受付へと就職を決める。

「インテリアコーディネーターの資格はネットで講座を受けて取ればいい。」と思いついたもののPCが全く扱えないので、歯医者の受付の仕事の合間に、まずはPCの学校へ通いだす。

ところが、数日もすると、勤め先の歯科医が、ジャスミンに言い寄って来て、無理やりキスをされ押し倒されたので「もう我慢出来ない!」と、医者を突き飛ばして歯医者受付職をやめてしまった。
その顛末を、PC学校で出来た友達に話すと、友達がおおいに同情してくれて「今度、裕福な人達が集まるパーティがあるのだけど一緒に行かない?」と誘ってくれた。
もちろん、ジャスミンはこれぞ起死回生のチャンスとばかりに、パーティに行く事を決めるが、そのパーティにジンジャーも誘い出す。

ジャスミンとジンジャーの姉妹は、このパーティで、それぞれ一人ずつ新しい男をゲットする。

ジャスミンが見つけたのは将来、政治家になる展望を持っている裕福な外交官ドワイト・ウェストレイク。
ジンジャーが新たに出会ったのは、禿げで精力絶倫の音響エンジニアのアルだった。

姉妹のそれぞれの恋愛はどちらも順調に運ぶかと思われた。
しかし、ジャスミンの方は、彼に気に入られたいがために都合の悪い話はすべて伏せ、過去と未来を見栄をはって偽りで改変した事が、ひょんな事からバレてしまい、彼を怒らせてフラれてしまう。
またジンジャーは、チリよりも、アルの方が稼ぎがいいので乗り換えようとしていたが、アルが既婚者である事が発覚して、あっさりとチリと元サヤに収まる。
ジンジャーの方は、チリが彼女にぞっこんなので、
彼女の一時の心の迷いで済んで、再び仲睦まじい姿を見せていた。
片や、ドワイトと結婚を約束し、夢のような新居を見せられて、指輪も選び終わり、再び上流社会に返り咲こうとしていた寸前で破談になったジャスミンは、深い孤独と悲しみの中にあった。
ハルと結婚していた頃、義理の親子関係にあったダニーが、今は古楽器店に勤めていると聞いて会いに行くが「父親の詐欺も許せないが、僕がもっと許せないのはあなただ。」と自分が裕福な暮らしを続けたいがために詐欺を黙認していた事を詰られて「二度と会いたくない!」と、けんもほろろに拒絶されてしまった。

放心したようにジンジャーの家に戻ったジャスミンは「ドワイトと結婚し、セレブとしての生活に戻るので出て行く。」と告げて、身一つで家を出るが、どこにももう行くあてなどあろう筈もない。

茫然とベンチに座り、再び独り言を喋りはじめるジャスミン。
プライドが高く、自らの虚栄心を守るために、心のバランスを崩し、壊れてしまった可哀そうな女。


映画 ブルージャスミン 感想



うーん、なんだろうね。
貧しい育ちゆえに、金持ち男を捉まえて上流階級の仲間入りを果たそうとする女の話って韓国ドラマにはよくあるんだけど、アメリカの映画やドラマには珍しいシュチェーションではないかと思われる。
しかも、この映画は、そうした貧乏からセレブへの逆転人生の痛快さを描いてるわけぢゃなく、虚栄心にばかり囚われて生きる人間の脆さを伝えるために作られたみたい。
ジャスミンは自分で努力して人生を切り開こうとする力強いタイプの女性ではなくて、
美貌を武器にお金持ちの亭主を捉まえて、その男の財力でいい夢を見させてもらおうとするよくいる寄生虫のような女なんやね。

賢いようにも見せかけてるけど、感情的になると計算も出来なくなるお馬鹿さんで、
しっかり者なら旦那を追いこむんなら、慰謝料をガッポリと取ってから追いこむのに、
前後の見境なく警察にチクリ、そのために自分も一文無しになるのよ。

最後には悲しくて寂しくて救いのない状況になるけど、すべては身から出た錆なんです。

ところで、この映画のジャンル「コメディ」と分類されていたんですが、単なるコメディにしては笑えないので「ペーソスコメディ」としておきました。